プラグイン

【Waves Magma StressBox徹底検証】EQとコンプでは出せない“感情の起伏”を1ノブで作る方法

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あばん
あばん
今年もやって来たWavesの無償配布…!
もーだん
もーだん
皆さんもGET出来たかなぁ?

風物詩となったブラックフライデー期間限定のWavesの無償配布。
今年はアナログ感のあるダイナミクス系プラグインとなっておりました。

以前の動画でもお話ししたように個人的に絶対チェックするべきプラグインの筆頭でした。

見た目の通り機能もシンプルですが深掘っていくとかなり味のする逸品ということが分かりってしまいました。

なので今回は、どのように使ったら良いかわからない人や詳しくこのプラグインの特性を知りたいという人に有益な情報をお届けしていきます。
内容としては以下の3つです。

・プラグイン徹底解剖
・実演デモ
・本音レビューととある予言

製品情報

音楽の緊張感を形作るダイナミクス ツール、StressBox をご紹介します。
右に回すとアグレッシブなコンプレッションがかかり、部屋のサウンドが前に出て、緊迫感と迫力あるエネルギーが押し寄せます。
左に回すと拡張が行われ、トランジェントが強化され、リバーブテールが短くなり、トラックがよりタイトでコントロールされた感じになります。
StressBoxは、機械を操作するのではなく、楽器を演奏しているかのようなダイナミックコントロールを実現します。ドラムを叩く時も、ボーカルを力強く響かせる
時も、すべてはフィーリング次第です。

あばん
あばん
ワンノブ設計でシンプルだねぇ…
もーだん
もーだん
これなら初心者でも扱いやすそう!

独自のアナログフレーバーを押し出すWavesのMagmaシリーズの最新メンバーとして、複雑なコンプレッション・エクスパンション処理を単一のノブで直感的に操作できることが最大の特徴です。

本家サイト然りどのサイトでも「感情」や「緊張感」を操作すると紹介されています。
使ってみると分かるのですが、いわゆるコンプレッサーとサチュレーターを合わせたような製品なのですがそれ以上にトラックに躍動感を与えてくれる何かがあるように感じます。

それではその中身を紐解いていきましょう。

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プラグイン徹底解剖

まずはPlugin Doctorというソフトで多角的にこのプラグインを見ていきたいと思います。

周波数分析

ご覧の通り、周波数は全く変化が見られません。
強くかけた時に高域が強調されたような気がしたのはおそらく後述する「倍音」「ダイナミクス」部分によるものなのでしょう。

EQ的な処理は行われていないことは念頭に置いた方がいいと思います。

倍音分析

ご覧の通り、100Hz以降は奇数倍音が強調される形で出ています。
これによりエッジ感や輪郭が強調されています。
そして基音以下にも倍音が生成されています。

面白いのがノブを回していっても倍音分布がほとんど変わらない点です。
アナログ系のプラグインであれば適用量を増やしていくと全体的(特に高域に顕著)に分布が変わるイメージがあるのですがこれはそのまま音量が増えていくだけみたいな印象があります。

別のアナログプラグインでは倍音がうにょうにょする

そしてさらに、基音の周波数を移動させていくと500Hz以上で明らかに分布が変化します。

あばん
あばん
もしかして入ってくる音によって…
もーだん
もーだん
倍音の処理が変わってる…?

意外だったのは高域になるほどノイズや歪みの量は減っていきます(クリーンと言っていいほど)。
なので耳に刺さるような嫌な部分を増長することなく倍音を付加する事ができると考えられます。

おそらく内部として低域と中域〜高域で処理方法を変えていると考えられます。
完全に中身はブラックボックスのため真実は不明ですし、ちゃんと別の理由があるのかもしれませんが、非常に面白い内容となりました。

ダイナミクス分析

分析してみるとアタック部分にはほぼ変化は見られませんでした。
リリースタイムはほぼ一定であることも見て取れます。

そしてノブを左側(Exp)側に回してみるとリリース以降の音量を抑えにかかっていました。

別のグラフで見てみると、ある一定以下の音量は下げている事が分かります。

アタック以外の部分を下げて相対的にトランジェントを強化しています。
これがいわゆる「タイト」になった状態です。

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実演デモ

実際に各パートにかけて音の変化を比べてみました。

あばん
あばん
Compで使った時のサスティンが…
もーだん
もーだん
めちゃくちゃ伸びるね…!

よくDTM界で「コンプはグルーヴを決めるもの」という解説がなされるのを目にしますがこれを使ってみて非常に分かりやすく得心しました。

ドラムやベースに使った時の音の消え際により特徴が出たかと思います。

よほど極端な設定でなければ大丈夫だと思いますが、Compで使う場合には曲のムードやグルーヴが壊れないように注意してください。

オートメーションをかけてみる

本家でもおすすめされていた、オートメーションで感情の起伏をコントロールする方法を試してみました。

正直使いどころはかなり難しいと思いました。
使うのであれば、
セクションごとに変化させる
0.7~1.5の間で少しだけ適用する
音量変化への対策必須

上記3点は抑えておくべきかと思います。

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本音レビューとある予言

使うならコンプ一択

現状、圧縮方向のみで使うことになりそうだなと感じています。
確かにエクスパンション(拡張)も面白いとは思いますが、オートメーションをかけてAメロなどの雰囲気を大人しくしていくという使い方になりそうな気がします。

結局「コンプと歪み」というよくあるエフェクトなのは確かなので、ここから数ヶ月は使っていくと思いますが、どこまで保つかというのは私自身分からないというのが正直なところです。

簡単操作とトレードオフ

なかなかええなぁ〜。と思えるプラグインであるのは間違いないです。
しかし、ワンノブの簡単操作と引き換えに緻密に設定を追い込む事ができないのはじれったく感じた部分かも知れません。

前述の解剖の通り、作りや中身自体は非常にシンプルです。
コンプレッションをかけて倍音を付加する、もしくはエクスパンションとしてアタックを強化するという使用方法になることは明白です。

そうなるともっと倍音やアタック&リリースの調整などをしたくなるのは私だけなのでしょうか…?

AutoGainが効いてるか不明

マニュアルにはAutoGainが搭載されているためABテストが容易であると書かれていました。
そして、あまりにも極端な設定をするとAutoGainが上手く調整できないかも知れないから手動で調整が必要とも書いてありました。

私が触ってみた感じ、あまり上手く動作してないように感じました。
ノブを動かしてある程度時間が必要なのだとは思いますが、基本的にはOUTPUTなどでざっくり調整を行なっておくのが良いと思います。

個人的に言っておきたいある予言

ただの予想なのですが、有償のProバージョンみたいなものが後日発売されそうな気がしています。

前述したこのバージョンでは出来なかった微細なコントロールまで出来るものが発表されて、中級者以上はこっちを使ってね!みたいな雰囲気になりそうな気がします。

そうなった時にはちょっと考えようと思いますが、現状はこのワンノブを楽しみたいと思います。

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今年も貰えてよかった

年に1度のブラックフライデーではどうしても財布の紐が緩みがちになります。
そんな中毎年無償プラグインを用意してくれるWavesには頭が上がりません。

少し前は「Goldバンドルはもう古い」「昔はすごかった」みたいな話をよく聴きました。
確かに個人的にも、Wavesのプラグインがプロジェクトに全く無い時期もありました。

しかし、最近のWavesは最大手らしい高い技術力と圧倒的な知名度で旋風を巻き起こしまくっている気がします。
恐らく有償期間に入りましたが、気になる方は本家サイトを覗いてみてください。

このブログ記事が、皆さんの音楽制作に役立つ情報を提供できることを願っています。
さらに詳しい情報や、ご意見ご感想があればぜひコメントをお待ちしています。

ABOUT ME
池田 耕平
夫婦アコースティックデュオ「アバンdeモーダン」のメンバー。 作詞作曲とDTMを使った編曲やミキシングを担当。 メイン楽器はアコギとハーモニカ。 DAWはStudioOne。 ・音楽制作(BGM・ボカロ) ・夫婦ライバー ・YouTube運営(カバー・DTM解説) ・当ブログ運営
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