今をときめく生成系AI。
その代表格と言えるのが、OpenAI社のChatGPTです。
個人的にも「Kaiber」「Runway」「AIVA」などの色んなAIを使っていく中でとても気になっていた存在でしたが、この度、課金をしてじっくり向き合ってみました。
ネット上では、「文章の校正・添削」「プログラミング」「小説の創作」などの用途の説明がありますが、実際我々音楽家にとってどのような使用方法があるのかを今回は解説していきます。
本人に聞いてみた
とりあえず本人に何が出来るかを聞いてみました。
私)あなたを音楽制作で使用するときに有用な使い方を教えてください。
ChatGPT)もちろんです。音楽制作で私を活用するための具体的な方法をいくつかご紹介します:
1.歌詞の作成と修正
歌詞のインスピレーション:特定のテーマや感情に基づいて歌詞を書きます。
スタイル調整:歌詞のトーンやスタイルを調整し、特定のアーティストのようなスタイルに近づけます。
翻訳と適応:他の言語の歌詞を翻訳し、文化的な違いを考慮して適応させます。2.楽曲の構成
楽曲の構造提案:イントロ、バース、コーラス、ブリッジなど、楽曲の構造を提案します。
アレンジのアイデア:特定の楽器やアレンジのアイデアを提供します。3.音楽理論と作曲
コード進行の提案:感情や雰囲気に応じたコード進行を提案します。
メロディラインの作成:メロディのアイデアやパターンを提案します。4.プロモーションとマーケティング
ソーシャルメディア戦略:ファンベースを増やすための効果的なソーシャルメディア戦略を提案します。
プレイリストやラジオへのアプローチ:曲をプロモートするための方法を提案します。5.音楽制作のテクニカルサポート
DAWの使い方:特定のDAW(デジタルオーディオワークステーション)の機能や操作方法についてアドバイスします。
ミキシングとマスタリングの基本:ミキシングやマスタリングの基本的なテクニックを教えます。6.コラボレーション
共同作業のアイデア:他のアーティストやクリエイターとのコラボレーションのアイデアを提案します。
プロジェクト管理:音楽プロジェクトの管理方法やスケジュール作成のアドバイスをします。
具体的な質問やプロジェクトがあれば、詳細にお答えできますので、お気軽にお知らせください。
列挙してもらいましたが、この中で私が試してみて有用だと思ったものを紹介していきます。
作詞のアイデア出し
自分の才能への挑戦と不安というテーマで作詞をしてもらいました。
曲名: 一歩ずつ進む勇気
Verse 1
目の前の道が見えなくて
どこまで行けるか怖くて
才能に疑問を抱えて
心が揺れる夜もあるけどChorus
一歩ずつ進む勇気を
持ち続けて信じよう
小さな目標を一つ一つ
越えていくことで強くなるVerse 2
周りと比べて焦っても
自分のペースで歩けばいい
挑戦し続けるその姿勢が
未来への扉を開くからChorus
一歩ずつ進む勇気を
持ち続けて信じよう
小さな目標を一つ一つ
越えていくことで強くなる
かなりの量を書いてくれましたが、長かったので一部抜粋しています。
待ち時間は数秒です。
感想としては、メロディも浮かびやすいような平易な歌詞を書いてくれたという感じでしょうか。
しかし、私にとってはあまりグッとくるものではありませんでした。
私)ありきたり過ぎます。もっと突飛で比喩を含みながら野田洋次郎っぽくセンスのある歌詞でお願いします。
ということで書き直してもらいました。
曲名: 夢の羅針盤
Verse 1
星のない夜空に問いかける
自分の影が伸びてく
才能の翼を試すたび
不安の雲が追いかけてくるPre-Chorus
だけど知ってるんだ、心の奥で
希望の羅針盤が指す方向をChorus
僕の中の宇宙が広がる
一歩踏み出すたびに輝く
彗星のように一瞬でも
光るその瞬間を信じて(一部抜粋)
野田洋次郎感が出ていない気がして、あまりピンときません。
もっと詩的で言葉遊びが入るような雰囲気だと思うのですが再度お願いしてみました。
私)もっと女々しく韻を踏みながら口語でお願いします。
ChatGPT)曲名: ため息の向こう側
Verse 1
毎晩ため息ばっかり
才能なんてどこにあるのか分かんない
夢見てるだけじゃ意味ないって
頭では分かってるけど心は痛いPre-Chorus
でもさ、どこかで光る星
僕の行く先を指してるんだChorus
一歩踏み出す勇気がない
でもこのままじゃ何も変わんない
夜空に叫んでみたってさ
明日が来るわけじゃないけど(一部抜粋)
さらにもっと砕けた歌詞にするようにお願いしました。
曲名: 無限ループの夜
Verse 1
夜空見上げてため息ばっか
才能なんて幻か
夢ばっかり追ってる自分がバカ
頭で理解しても心がカラッカラPre-Chorus
でもさ、心の奥底で光る星
僕の行く先を指してるんだ、知ってるんだChorus
一歩踏み出す勇気もなく
このままじゃ何も変わんない、無力
夜空に叫んでみたって、結果は同じ
明日が来る保証なんてないけど、バカみたいVerse 2
鏡の中の自分、完璧じゃない
でも誰かのために輝けるんじゃない?
不完全でも進む価値がある
それが僕のスタイル、そう思いたいPre-Chorus
不安に押しつぶされそうで、焦燥
でも希望の火を絶やさない、頑張りたいChorus
一歩踏み出す勇気もなく
このままじゃ何も変わんない、無力
夜空に叫んでみたって、結果は同じ
明日が来る保証なんてないけど、バカみたい
これなら歌詞カードに記載されていてもすんなり読み解いていく事ができます。
何より曲名の「無限ループの夜」が結構グッときました。
ポイント
作詞のように、正解や王道や好みというものが設定されてないものに関しては自分好みのものが出来るまでやり取りを繰り返すしかありません。
手癖で使ってしまいがちな言葉から一回離れてみるのに最適です。
先述の「無限ループ」という言葉は歌詞の中に入れるときらりと光りそうな匂いがします。
個人的には、作詞は自分でやりたいタイプなのでアイデアや単語単位のインスピレーションを得るといった使い道になります。
音声解析なども技術向上によって出来るようになれば「この譜割で歌詞を当てる」ということもできるようになるかもしれません。
新ジャンルの楽曲制作
今までに作ったことの無い楽曲を作る際にそのジャンルの主な特徴を聞くと勉強になることが多いです。全世界、古今東西の知識を引っ張ってくる使い方はchatGPTの得意とする分野でしょう。
例えば、ケルト音楽について聞いてみます。
私)ファンタジーでケルト民族的な音楽を作りたいのですが、スケールやコード進行や使用する楽器やリズムパターンなど音楽の知識と共に作り方を教えてください。
ChatGPT)ケルト民族的なファンタジー音楽を作成するためのガイドラインを以下にまとめます。この音楽の特徴的な要素には、スケール、コード進行、使用する楽器、リズムパターンなどが含まれます。
・スケール
ケルト音楽には、特定のスケールがよく使われます。以下はそのいくつかです。
ペンタトニック・スケール:
例: C-D-E-G-A
シンプルでありながら、広がりのあるサウンドを作り出します。
ミクソリディアン・スケール:
例: G-A-B-C-D-E-F
第7音がフラットになっており、独特の浮遊感を与えます。
ドリアン・スケール:
例: D-E-F-G-A-B-C
第6音がシャープになっており、少し哀愁を帯びた雰囲気を持ちます。・コード進行
ケルト音楽の典型的なコード進行はシンプルですが、豊かな響きを持っています。
I-IV-V進行: 例: C-F-G
基本的な進行で、多くのケルト音楽の基礎を形成します。
I-V-vi-IV進行: 例: C-G-Am-F
ポップスでもよく使われますが、ケルト音楽にも適用可能です。
I-vi-IV-V進行: 例: C-Am-F-G
別名「50’s progression」とも呼ばれ、古典的な響きを持ちます。・使用する楽器
ケルト音楽に使われる伝統的な楽器は、その音色が音楽の雰囲気を決定づけます。
ティン・ホイッスル:高音域の笛で、メロディーラインに適しています。
バウロン:アイリッシュ・フレームドラムで、リズムを支えます。
ハープ:優雅な音色で、メロディーやアルペジオに使われます。
フィドル(バイオリン):メロディーや装飾音に使用されます。
アコーディオン:リズミカルな伴奏やメロディーを提供します。・リズムパターン
ケルト音楽のリズムは軽快でダンス向けのものが多いです。ジグ (6/8拍子):軽快で跳ねるようなリズムが特徴です。
例: 1-2-3, 1-2-3のパターン
リール (4/4拍子):より高速でエネルギッシュなリズムです。
例: 1-2-3-4, 1-2-3-4のパターン
ホーンパイプ (4/4拍子):スイング感のあるリズムで、各拍が若干遅れて演奏されます。・作り方のステップ
スケールとメロディーの選定:
まず、ペンタトニック・スケールやドリアン・スケールなどからメロディーを作成します。
コード進行の決定:
シンプルなI-IV-V進行などを使って、伴奏を構築します。
リズムの追加:
ジグやリールのリズムパターンを使って、リズムを設定します。
楽器のアレンジ:
ティン・ホイッスルでメロディーを演奏し、バウロンでリズムを支えます。フィドルやハープを加えて厚みを出します。
装飾音の追加:
ケルト音楽は装飾音が豊富です。トリルやグレースノートを追加して、メロディーに変化をつけます。
めちゃくちゃ詳細に教えてくれます。
もちろんここで全て完結するわけでは無いのですが骨組みというか概要を知る事ができます。
そして、各楽器やフレーズについて詳細に知りたい場合は「詳しく教えてください」と入れると教えてくれるのでとても便利です。
次にハードコアテクノについて聞いてみました。
私)楽曲を制作する際のスケールやコード進行や音色の選定など、ジャンルの特徴を捉えて網羅的に教えてください。
ChatGPT)ハードコアテクノの楽曲を制作する際のスケール、コード進行、音色の選定について、ジャンルの特徴を捉えて網羅的に説明します。・スケールとメロディー
ハードコアテクノは、一般的にメロディックな要素よりもリズムとエネルギーに重点を置いています。しかし、使用するスケールとしては以下のものが挙げられます。
ペンタトニックスケール:シンプルで強力なメロディラインを作成するのに適しています。
例:Cペンタトニックスケール (C, D, E, G, A)
全音階:直接的で明るいサウンドが特徴です。
例:C全音階 (C, D, E, F#, G#, A#)・コード進行
ハードコアテクノでは、コード進行がメインの要素ではなく、リズムと音色が主役です。そのため、複雑なコード進行はあまり使用されませんが、以下のようなシンプルな進行が使われることがあります。
I-V進行:例:C-G
シンプルで力強い印象を与えます。
I-IV進行:例:C-F
強調されたサウンドを作り出します。
パワーコード:例:C5 (C, G)
パワーコードはハードコアテクノのエネルギッシュなサウンドを支える重要な要素です。・音色の選定
ハードコアテクノの音色選定は非常に重要で、ジャンルの特徴的なサウンドを形成します。以下に主要な音色を紹介します。ディストーションキックドラム:ハードコアテクノの特徴的な要素であり、攻撃的で重厚な音を持ちます。ディストーションエフェクトをかけて、迫力を増します。
サブベース:低音域を補完するための強力なサブベース。シンプルなベースラインでも、しっかりと低音を支えることが重要です。
リードシンセ:高音域で使用されるリードシンセは、攻撃的で鋭い音色が一般的です。多くの場合、歪みやフィルターエフェクトがかけられます。
パッドサウンド:背景を埋めるためのパッドサウンド。暗くて重厚な雰囲気を持つものが好まれます。
ノイズとFX:ノイズエフェクトやさまざまなサウンドエフェクトは、曲に動きと興奮を加えます。エフェクトの選定も創造的に行うと良いでしょう。・リズムパターン
ハードコアテクノのリズムは高速で力強いのが特徴です。一般的なリズムパターンは以下の通りです。
4つ打ちキック:四分音符ごとにキックドラムが鳴るパターンが基本です。
BPMは160から200以上が一般的です。
オフビートハイハット:キックドラムの間にハイハットを入れることでリズムを強調します。
スネアとクラップ:2拍目と4拍目にスネアやクラップを配置してビートを補強します。
シンコペーション:シンコペーション(異拍のリズム)を入れることで、リズムに変化とエネルギーを加えます。
ポイント
これらの骨組みを理解した後に参考楽曲のリンクを聞くとYouTubeのリンクを教えてくれます。勉強として、知識の拡充を目指すのであればとても効率的な方法です。
こういうパターンで示されるコード進行は非常にシンプルなものが多いのでテンションノートが入ったオシャレなものは別途聞き直す方がいいです。
割とわがままを聞いてくれます。
音楽活動の成長について
これが個人的に驚きました。
私ごとですが【日々成長】を頭の片隅に置いて生きています。
しかし、「成長って何…?」と考える事があり、友達がいないのでChatGPTに聞いてみました。
実際のやり取りを見てください。
私)私は音楽クリエイターです。
1週間単位、1ヶ月単位、3ヶ月単位、1年単位での目標を設定してください。ChatGPT)音楽クリエイターとしての成長を促進するために、以下のような短期、中期、長期の目標を設定してみましょう。
・1週間単位の目標
新しい音楽ソフトを習得する:
「今週は新しいDAW(デジタルオーディオワークステーション)の基本操作を学ぶ」
リズムパターンの作成:
「異なるジャンルのリズムパターンを3種類作成する」
短いメロディを作成する:
「毎日1つずつ、計7つの短いメロディを作る」・1ヶ月単位の目標
完全な曲を1曲仕上げる:
「1ヶ月以内に1曲を完成させる(作曲、編曲、録音、ミキシング、マスタリングを含む)」
音楽理論の学習:
「1ヶ月で1冊の音楽理論書を読んで理解する」
コラボレーション:
「他の音楽クリエイターと1回コラボレーションをする」・3ヶ月単位の目標
ミニアルバムを作成する:
「3曲入りのミニアルバムを完成させる」
ライブパフォーマンスの準備:
「ライブパフォーマンスのセットリストを作り、リハーサルを行う」
プロモーションスキルの向上:
「SNSや他のプラットフォームでの自己プロモーションの方法を学び、実践する」・1年単位の目標
フルアルバムをリリースする:
「10曲以上のフルアルバムを完成させ、リリースする」
フェスティバルやイベントで演奏する:
「少なくとも2つの音楽フェスティバルやイベントで演奏する」
音楽制作のスキル向上:
「音楽制作のオンラインコースを受講し、修了証を取得する」
ファンベースの拡大:
「SNSやストリーミングプラットフォームでフォロワーを1000人増やす」
これらの目標を設定し、定期的に進捗を確認することで、成長を感じやすくなると思います。成功した際には自分をしっかりと褒め、次のステップに進むモチベーションを維持してください。
実際に見てみればなんて事ない内容ですが、自身の成長戦略として客観的にアイデアを出してくれるのは非常に有益です。
出来なかったこと
音楽ファイルの解析
音楽ファイルを送信してフィードバックをもらおうと思ったのですが、そこまではいけませんでした。
技術的な制約、とあるのでもしかしたら将来的には何かしらのフィードバックが貰えるようになるかもしれません。
まとめ
ChatGPTの使い方を3つ紹介しましたが、当然他にも使い道は沢山あります。
オシャレなコード進行を教えて、というと上手に教えてくれたりもします。
これはこれでとても有能なのですが、結局制作するのはまだ今のところ私たち自身のようです。「Suno」のようなAIもありますが、自分好みの音楽を作り上げていくための知識が拡充されるという使い方が現時点では有力のようです。
逆を言うと「音楽を作る楽しみを残してくれている」とも捉えることが出来ると感じました。
生成系AIに関しての記事も他に書いているので良かったらご覧ください。
このブログ記事が、皆さんの音楽制作に役立つ情報を提供できることを願っています。
さらに詳しい情報や、ご意見ご感想があればぜひコメントをお待ちしています。