私が常日頃毎プロジェクトでお世話になっている「INTENSITY」。
過去一二を争うほど買って良かったプラグインの筆頭で、過去にはINTENSITYの紹介記事も投稿しました。
2018年のリリースから早7年。
そんな私のイチオシプラグインがVer2になって帰ってきました。
現在、早期アクセスを開始していて早速使ってみましたのでそのレビューと何が変わったのか?私が勘違いしていた使い方などについて記載していきます。
製品概要

INTENSITY 2は 、クラシックなINTENSITYのコア機能とワークフローをさらに強化し、CPU使用率が低くレイテンシーがほぼゼロの新しいアルゴリズム、没入型ワークフローを実現する最大16チャンネルのサポート、BIAS CURVEプリセットの拡張 、 Mid/Side処理オプションなど、エキサイティングな新機能と改良点を全面的に 追加し まし た 。新機能の詳細は以下をご覧ください。
写真における HDRの働きと概念的に類似した INTENSITY 2は、サウンド本来のディテール を引き出し 、知覚される音量を高め 、明瞭さと鋭さを増します 。 しかも 、 操作は基本的に1つのコントロールで行えます。3つの独自アルゴリズム、M/S処理、オプションのソフトニー・サチュレーション・リミッター、16チャンネルサポート、そして超高速で刺激的なワークフローを備えたINTENSITY 2は、 ミキシング、マスタリング、そしてサウンドデザインに欠かせないツール です。
本家サイトより引用
写真のHDRをオーディオに応用したと言われる謎技術により曲の輪郭が際立ちマスキングが減ってラウドネスが向上する超優れもの。
外観はあんまり変わっておらず使い方としても以前のものを踏襲してくれています。
こちらとしても安心感があるのでありがたいですね。
INTENSITY2の新機能
1.新しいサウンドアルゴリズム

INTENSITY2ではサウンドアルゴリズムを3種類(SMOOTH/CRYSTAL/BRONZE)から選べるようになりました。
SMOOTHはVer1と同じアルゴリズムです。
「リニアフェーズの周波数領域処理」というものを使用しているみたいです。
新たなアルゴリズムとして、高域を無駄なく強調してくれるCRYSTAL、豊かなトーンが特徴のBRONZEがあります。
詳しい特徴をそのまま書くのも忍びないのでマニュアルより引用させてもらいます…。
カスタムエンジニアリングされた時間領域最⼩位相処理を採⽤し、プリリンギングゼロ、レイテンシーほぼゼロ、CPU負荷低減を実現しています。
デモ音源
GAINは合わせる機能を使っているので純粋に音質の比較をしています。
個人的にはSMOOTHが一番パワフルな気がします。
新アルゴリズムの2つは上品というか綺麗というか歯切れがいいというか。
キラキラ感が増すCRYSTALとパワフルでどっしりするのがBRONZEという印象です。
しかしこれも中央のBIASカーブによって音の印象が変わってしまうので一概にいうことは出来ませんが参考までに。
それぞれのCPU負荷

あくまでもそれぞれの環境や設定に依る部分が大きいのですが私の環境の場合をお伝えします。
上から順番に
1.新アルゴリズム(CRYSTAL/BRONZE)
2.V1アルゴリズム(SMOOTH)
3.INTENSITY1デフォルト設定
確かに少し負荷は軽くなっています。
これにより後述する、各パートへの適用という贅沢な使い方の敷居も下がったように思います。
2.BIASカーブの追加

INTENSITY2になってバイアスカーブが10個から22個になりました。
こう見てみると、ある周波数を強調したり輪郭をはっきりさせるためのプリセットが多くなった気がします。
また、これらはアイコンの上にマウスを置くだけでそのプリセットカーブを視聴することができます。
気に入ったものがあればクリックするだけという超親切設計です。
比較のためにBIASを最大にして色んなプリセットカーブを聴いてみます。
プリセットも追加されてる

プリセットが新機能に付随してかなり増えました。
M/S処理用だったり、ピアノやギターといったパートトラック用のものが多い印象です。
以前のVerだと重すぎてマスター段に1つが精一杯というイメージでしたが、新しいアルゴリズムでCPU負荷が少なくなったからそっちでも使ってみてね!と言われているような気がします。
3.M/S処理の追加

MIDのみ、SIDEのみの処理が出来るようになりました。
MIDのみに適用すると、SIDE成分に多くありがちなアンビエント(空間系)の音を過度に処理せずボーカルやドラムなどのメインパートをパートを強化する事ができます。
逆にSIDEのみに適用すると、MIDのパンチ感やダイナミクスはそのままにステレオ幅を広げて壮大な感じに処理する事ができます。
個人的には触ってみた感じ、あんまり使わなそうな気がしました。
適用量を決めれるならありかなとも思いますが、どっちかだけというのはなかなか贅沢な使い方のような気がします。
好みのステレオイメージになるように設定を追い込める手札が増えたと言えばそうなのですが、この辺りはまだ私自身での精査が必要な気がします。
勘違いしていた使い方
INTENSITY2のマニュアルは全44Pと前回からかなり増えました。
詳細に説明がなされたおかげで私が勘違いしてた部分が明らかになったので共有します。
INTENSITY量って?

このプラグインの根幹を成す「INTENSITYノブ」。
ノブを回すと音が強化され明瞭感が増していくというのは何となく理解していましたが、実際何がどうなっているのかは正直分かりませんでした。
しかし、今回のマニュアルに全容を載せてくれていました。
このINTENSITYノブは「ディテールとして分類された成分」のレベルを上げていきます。
これは何気に重要でした。

上記画像で説明すると、オーディオ分析されて「メイン(下段)」と「ディテール(上段)」に分けられます。
そして、「INTENSITYノブ」によってディテールをどのぐらい強調するかを決めます。
最後に「BIASノブ」によって周波数別に適用の量を変化させるというわけです。
なのでINTENSITYノブを0にしても音質に変化がある理由がわかりました。
0にしても「ディテール」に分類された音はBIASへと送られるのでそこでの設定次第で少なからず処理がなされているということで理解しました。
ゲイン調整の違いについて
今回のバージョンアップで「AGC」と「GAIN COMPENSATED」が追加されました。


AGC
INTENSITY回路で変化した音量のみを自動補正します。
その後のBIASやOUTPUT調整などは補正されないため出力された音は普通に音量の上下があります。
GAIN COMPENSATED
プラグインの最終出力を補正します。常にレベルを想定しながら音量補正をかけるので急激に設定を変えると少し不自然な挙動をしますが、あくまでもモニタリング用の機能なので設定が決まったら「OUTPUTモード」に戻しておくべきです。
やっぱりすげーやつ

少し触ってみた感想としては
各ノブの学習コストが少し増えた
SMOOTHはより派手になった印象
新アルゴリズムしか使わなそう
緻密な設定を追う必要が出た
という感じです。
出来ることが増えたプラグインの宿命でもありますが、よりディテールを検知出来る能力が上がったためなのか適用量によっては「シャバシャバ」というか「音が暴れる」印象です。
しかし、逆に言えば少しの適用で抜群な効果をもたらしてくれるとも言えます。
そしてそれが正しい使用法だとも思います。
結局この子はすげーやつという評価は僕の中では変わりません。
イントロセールについて
早期アクセス特典として5/18まで通常149ドルが99ドルになっています。
もし、バージョン1を持っていたら49ドルでアップグレードが可能となっています。
公式サイトを見る限りは、アップグレードに関しては5/19以降も49ドルみたいなので特に急ぐ必要はなさそうですがこれを機に購入を考えている人はお早めの方が良いかもしれません。
また、30日間のデモも可能なのでそちらで動作を確認してみるのもアリです。
ただし、この製品を使うためには無料のilok.comアカウントが必要になる点はご留意ください。
製品版リリースが待ち遠しい
公式でもアナウンスされていますが、これはあくまでもベータ版のようなものです。
一応、バグや挙動の検査は十分に行なっていますが、製品版の本リリースの時点で何かしらの変更が加わる可能性はあります。
使ってみた感じ、致命的な問題等は無さそうなので、プリセットの追加などが考えられますがこれからの数週間でどんな改良があるかも見どころな気がします。
私個人としてはマスタリングに欠かせない本製品。
使い方を習熟するとともにリリース日を心待ちにしたいと思います。
このブログ記事が、皆さんの音楽制作に役立つ情報を提供できることを願っています。
さらに詳しい情報や、ご意見ご感想があればぜひコメントをお待ちしています。