今日のMIX作業において重要な役割を占めるサチュレーション。
私もSoftube/HarmonicsやHeavyocity/PUNISHなど様々なアナログ系プラグインを試してきました。
しかし、結局行きついてしまうこのシリーズを今回は大解剖していきます。
今回は、
それぞれの倍音分析
実際の出音の比較
についてお届けしたいと思います。
Kush Audioとは?
L.A.を拠点に持つメーカーでプラグインとハードウェアの開発&販売をしています。
このメーカーのプラグインを評するときに、「音に温かみが出る」「アナログの再現度が秀逸」という言葉をよく見かけます。
それもそのはずで、実際にアウトボードの製品も作っておりそのノウハウがプラグインにも詰め込まれているということです。
OMEGAシリーズ
OMEGAシリーズはワンノブでお手軽にアナログの質感を得ることが出来て、現在全4種類リリースされています。
価格は1つ29$でセールになると19$ぐらいになったりします。
また、全種セットもリリースされているのでこの記事を参考にしつつ見てみてください。
OMEGA 458A
真空管をエミュレーションした458A。
先に言っちゃいますと、これが一番の推しです。
アコギ・ボーカル・ドラム・バスと汎用性高く利用できるので後述する倍音分析を1番楽しみにしています。
OMEGA A
APIコンソールをエミュレーションしたモデル。
唯一このシリーズで私が所持していませんが、デモをした雰囲気だとAPIらしく高域をパリッとさせて光沢が出ます。
OMEGA N
ビンテージNeveモデル。
ダークで分厚く丸みのあるサウンドという印象です。
OMEGA TWK
OMEGAシリーズの中では一番後発でKUSH的に一番力が入っているように感じます。
Kush 独自のハードウェアをエミュレーションしています。
モデル TWK は、Kush 自身の Tweaker ハードウェア コンプレッサーの心臓部から直接引き出されたビンテージ ディストーションです。 Omega TWK のサウンドは、Tweaker が 1 対の「スーパーマッチ トランジスタ」をオーバードライブする方法をモデリングして、汚れた 70 年代のオペアンプの長いチェーンに電力を供給する方法から生まれています。これらのオペアンプはすべて、現代の基準から見ればひどいスペックを備えています。Tweakers の穏やかなクリッピング ステージを連続してそれぞれ軽く研削する効果は、滑らかで厚みのある、わずかに暗い彩度になります。そのため、モデル TWK は (Tweaker 自体と同様に) 「まろやか」から「まろやか」な状態になります。
本家サイトより引用
周波数特性
OMEGA 458A
挿した段階では20Hz~200Hzが1.2dBほど上昇していたのでOUTPUTを調節しました。
500Hzぐらいから少し膨らんで10KHz以上では2.5dBほど上がっています。
シャキッとした艶のある音に変化すると感じていたのはこういう特性のためでしょう。
また、ノブを変化させていくと2~3時を越えたあたりから大きく崩れていきます。
逆説的に、使用するのであれば9~12時ぐらいで使うと丁度良さそうですし、実際私もそのように使っています。
OMEGA A
私もめちゃくちゃ驚きました。
20Hzら辺の膨らみはさておき、可聴範囲のほぼ全域が音量が下がっています。
GIFで見てみると分かるのですが、ノブの最小から9時ぐらいまでは1KHz辺りにdip(へこみ)があり50Hz以下がロールしている程度です。
これならまだ分かるというか…
設定は9時前後ぐらいで十分な威力を発揮してくれると思います。
OMEGA N
挿したままの状態です。
こうも特徴的だと挿したデフォの状態はやや過剰なのか?と思ってしまうほどです。
80Hz以下や5KHz以上が丸くロールしています。
どうやら特徴的なロールオフは通常のようです。
「Neveは中域に特徴がある」と聞いたことがあるのですが、このように中域にパワーを集中させているような感じが見て取れます。
OMEGA TWK
これに関してはOUTPUTを1.2dB下げて見やすいように調整しました。
100Hz辺りにふくらみがあり、2Kと10KHzにdipがあります。
12時ぐらいまではほとんど特性は変わりません。
しかし、1時を越えた辺りからレベルは下がり特性も大きく崩れ始めます。
倍音分布特性
OMEGA 458A
OMEGA A
OMEGA N
OMEGA TWK
それぞれの倍音分布が見えました。
458Aは細かく高域まで分布が伸びています。
これを踏まえて実際に出音を確認していきましょう。
出音の比較
サンプル:アコギ
こちらのアコギに使用していきます。
intensityが時々点灯するぐらい(9~11時ぐらい)
GainMatchを使用して音量を揃える
にて設定しました。
サンプル:ドラム
出音の考察
OMEGA 458A
アコギもドラムも重心が高くなって煌びやかになりました。
私がサチュレーションに求める音の抜けが出ているように感じます。
要するに一番好きです。
OMEGA A
前面に出てくるようなかっこいいスマートな音になりました。
調整にもよると思うのですが、やや歪みやすいので9時前後での運用が吉です。
OMEGA N
分かりやすく音のレンジが狭くなりダークでパワー感ある音になりました。
458Aとは真逆のキャラクターでガッツのある曲調に合いそうです。
OMEGA TWK
高域の煌びやかな感じもありますが、スモーキーというか、シャギーというか…。
少し曇ったような音になった印象があります。
歪み具合も幅広いのでLo-Fiなどに合いそうな気がします。
追記
458Aが特に顕著だったのですが、少し上げていくとコンプレッサーが作動しています。
私は特に意識しませんが、歪みと合わせるとダイナミクスがやや減少する可能性があるので留意しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
Kush AudioのOMEGAシリーズを全部見てきました。
やはりと言うか458Aが私の好みど真ん中でした。
TWKは再評価出来たので、煙たいようなかっこいいブルージーな音楽を作るときには積極的に稼働してもらいます。
ワンノブで簡単に設定できて、値段もお手頃というところがこのシリーズの強みだと思います。
10日間のデモをすることも出来るので是非気になったらお試しください。
最後までご覧頂き有難うございました。