やっとついに私にもお鉢が回って来ました!
色んな方がLANDRについての紹介記事や動画を上げているのを見て来てて「僕にはOzoneあるし…凄いらしいけど…」ぐらいの存在でした。
しかし、今回LANDRさんにお声がけを頂き、念願の「LANDR・Ozone12・俺」の三つ巴比較を行っていきます。
今後リリース予定の「ガチ曲」を使っての比較なのでどのマスタリングも本気で挑んでいます。
今回の内容は以下の3つです。
・ブラインドテスト
・比較結果と使用プラグイン
・マスタリングしてみた感想
LANDRのプラグインが気になっている方、そもそもマスタリングって何してんの?、比較検討の内容が気になる方、多くの人にとって学びになる記事になるかと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
早速ブラインドテスト
三つ巴の比較と言っておきながら今回は4パターン用意しました。
LANDR
Ozone12
人力でマスタリング
リミッターを掛けただけ
ちょっと意地悪な4つ目を加えて順番をランダムにします。
サビ周辺のみになりますが、あまり長くても冗長になるので是非お付き合いください。
私のリスニングポイントは、低音の量感・サイドへの広がり感・スネアの重心、ボーカルの質感ら辺を聴くと分かりやすいように感じます。
これがあれかな?と当てるより、好きなもの順でランキングする方が後々の記事も見やすくなると思います。
いざ、比較
答え合わせ
いかがでしたでしょうか?
ブラインドテストってなんかゾワゾワしますよね。
一応音圧は揃えたし聴感上も差異無いように努めております。
それでは、答え合わせです。
リミッターを掛けただけ
人力でマスタリング
Ozone12
LANDR
となっておりました。
それでは各プラグインの解説に移っていきます。
1
1番目のこちらはStudio One付属のリミッタープラグインを使用しました。

ややSide成分が弱い
リミッターだけなので少し暴れを感じる
少し物足りない所があるものの、個人的には「これ結構いい線行ってるのでは…?」「つまりミックス上手に出来たのでは…?」とホクホクしているのでこの1番目を選んだ方がいましたらぜひ教えてください。
私が喜びます。
2
私の人力マスタリングは2番目でした。
なんか聴き疲れる?
それでいてボヤけを感じる

使ったプラグインは上記の通りです。
INTENSITYとCORAL2はよく使っていて私の推しプラグインです。
周波数を整えたり、明瞭感を出したり、アナログEQを挟んでみたりと結構試行錯誤しました。
1回30〜40分ぐらい作業して、書き出して、再度ミックスからやり直して…を繰り返して出来上がったので疲労度は一番高いです。
後ほど総括としてマスタリングしてみた感想をお伝えします。
3
Ozone12は3番目でした。
読み込ませて、私自身で微調整を加えましたがモジュールの追加等は行なっていません。

実際制作の最終局面で毎回使っていますし、別記事でも取り上げています。
今回は、ジャンルを「Rock」で提示されましたが「Pop」に変更したり、EQの効きやマキシマイザーの音圧を揃えたりしたぐらいです。
新しいIRC5で音圧が自然に上げられる
モジュールごとで微調整出来るのが良い
Ozoneの中で作る不自由さが逆に良い
今回の作業は1回10分ぐらいでしょうか。
やはりスピーディーに作業できるのは集中力が保ちやすくて良いですね。
4
そして今回の目玉であるLANDRです。

上記のような設定でマスタリングをしてみました。
意外と堅実で上品なマスタリング
センターの要素が強まる感じがする
スピーディーさはピカイチ
作業時間は5分ぐらいでしょうか。そもそも触れる部分が少ないので微調整に手間取ることはあまりありませんがそれがこのプラグインの弱点と表裏一体となっています。
Warm、Balanced、Openの3つを比べてみると以下の通りです。
デフォルトモードでパラメーター変更無しで比較してみます。
個人的なレビュー
思った以上にLANDR良かった
提供頂いているからという訳でも無いのですが、思ったより良かったと感じました。
パシッと全体をまとめてくれて原曲を大事にしてくれてる感があります。
Ozoneは無理やり曲のジャンルに合わせるために極端なEQやコンプの設定を施してくる時がありますがLANDRにはそれが感じられませんでした。
全ての長所短所は表裏一体なのでそれらをお伝えすると…
・上品で堅実⇄没個性的
・初心者にも操作が簡単⇄中級者以上は物足りない
この2点に集約されると思っています。
そしてめっちゃ大事なのですが、プラグインの負荷が非常に高いです。
Ozone12やCORAL2を差し置いてぶっちぎりの高さです。

導入される際はぜひ念頭に置いて、デモをしてみることをおすすめします。
自由と不自由のグラデーション
LANDR・Ozone12・人力マスタリングはグラデーションの関係になっています。

制約が多いほど、触れるパラメーターが少ないほど、制作は楽になりますが微調整などの融通が効きにくくなります。
一方で、「何でもどうぞ!ご自由に!色んなプラグインありますよ!」とされるとフリーズしてしまうのも非常によくわかります。
その点、Ozoneは自由度が構造化されておりその枠内の中であれば自分のクリエイティブを発揮することが出来るので、良い立ち位置を確保しているなぁというのが率直な感想です。

私自身、人力のマスタリングをやってみて「何が正解か」「いつになったら終われるのか」が分からず費やした時間以上に疲労を感じました。
制作に枠を嵌めるという意味でもLANDRやOzoneのようなツールは非常に有用だと感じます。
二大巨頭に挑んだ感想
LANDRとOzoneという屈指のAIマスタリングツールに人力で挑んでみましたが、感想としては「誰かの意見が聞きてぇ」でした。
プロの楽曲では、作編曲・ミックス・マスタリングのそれぞれを違う人が担当する場合がほとんどです。
プロ用にチューニングされた環境でそれぞれの音の段階を新鮮な耳で聴けるというのは「客観性」を担保するのにとても適しています。
私のようにセルフで全てを行う人にとっては何週間も同じ曲を聴き続けるので、この「客観性」を保ち続けることが非常に難しいと感じました。
最初から最後まで同じスピーカー、同じヘッドフォン、同じ部屋で作業をしているので定在している問題点になかなか気づけない場合があります。
そういう時にある意味の「客観性」としてAIマスタリングツールを使用するというのは大事なことだと感じました。
もちろん、メーターやアナライザーといった計測ツールは使いますがやはり道筋をある程度示してくれるAIツールは有用です。
最後の10%が遠い
素人人力マスタリングをやってみて、音圧を上げるとが明瞭感を増やすというのは有能プラグインがあれば何とかやってやれない事は無いと感じました。

しかし、曲の弱点を補正して、強みを伸ばすというアプローチには至らず、その最後の仕上がりにプロエンジニアとの大きな隔たりがあると感じました。
「なんかもっとやることあるんじゃ無いか?」と色々プラグインを挿しては消しを繰り返して時間と労力を無駄に費やした感じがあります。
正直、書き出してみて、携帯で聴いたら問題点だらけでMIXまで戻るということを何回も繰り返しました。
仕上げの10%にプロの技と経験・耳心地の良さ・オリジナリティがふんだんに詰め込まれているんだと考えるとなんと奥深い世界なのかと改めて感じ入った次第です。
LANDRの紹介
今回お声がけしてもらって提供されたのは「LANDR Mastering Plugin PRO」というプラグインを含めた「LANDR Studio Pro」というサブスクです。

LANDR Mastering Plugin PROも買い切りはありますが結構いい値段します。

それに前述したCPU負荷の問題もあるのでまずはサブスクなどで一回試してみてから導入を検討するのがいいかと思います。
他にも、サンプルパックやプラグインもあったりします。
もっと色々楽しめそうなのでまた別記事に出来たらと思います。
ぜひ参考にしてみてください。







