【2026年最新】AIが嫌いだったDTMerへ。フェアトレードAIで「奪わない」LANDR Layersという選択肢



「曲はできたが何か物足りない」
「ベースやギターを入れたいが弾けない」
「そもそも編曲のアイデアが出ない」
聞き飽きた作曲あるあるですが、いつまで経っても抜けられることのない作曲沼の宿命です。
そしてそんな状況を打破するかの如く、近年大きく進化を遂げたのがSUNO AIやTUNEEと言った音楽生成AIツールです。
これらで曲作りは圧倒的に簡単になりました。
アイデアもクオリティも枯れることを知らずどんどん生み出せてしまうまさに巨人です。
しかし、皆さんの心の中には、
「AIで作ってもなんか虚しい…」
「無断で演奏データ使われてるんじゃ…?」
「倫理的に後ろめたい…」
という思いが少なからずあるのではないでしょうか?
今回はその疑問や不安を払拭する新しいツール「LANDR Layers」を紹介します。
後述しますが、他のAIと違う大きな点は「フェアトレードAI」であるということです。
これは、演奏家に同意を取った上で演奏データをAIに学習させて、その収益を演奏家に還元するというものです。


実際どのぐらい使えるのか?
具体的なワークフローは?
注意点やデメリットは?
今回はこれらについて徹底解説していきます。
サービス概要
LANDR Layersの立ち位置
まずこのツールの立ち位置として、「楽曲生成AI」でも「ループ素材集」でも無く、提携している本物のセッションミュージシャンが制作を手助けしてくれるクリーンなAIツールです。
どのように手助けするかというと、自分の楽曲(もしくはループ)を読み込ませると、AIがテンポ・キー・ハーモニー・リズム・構成を解析し、その曲に合うドラム・ベース・コード・テクスチャなどの「レイヤー」を自動生成してくれます。


Aiodeとの業務提携
実は「LANDR Layers」という名前が付いてはいますが、中身はAiode社の「Aiode Virtual Musicians」と全く同じです。
業務提携をして、LANDRのサブスクでも使用出来るようになった、という感じです。

Aiode社の「フェアトレードAI」プログラムで収益をミュージシャンに分配する仕組みを採用することで、著作権・倫理面でAIを敬遠しがちな方にも安心して使うことができるようになっています。
実際のワークフロー
まずは、下記の動画でBefore/Afterを確認してみてください。
いかがでしょうか?
各パートが浮くことなく、テンプレート的なループではなく、曲に最適化されたアレンジが施されています。
これが数秒で生成されていくのですから、アイデアの深掘りやデモ制作にも非常に有用です。
使用方法

アプリを起動すると、4つのモードが表示されます。
Import Music
基本的にはこのモードを選択することになると思います。
後述するようなファイルを準備して解析させたらセッションがスタートしていきます。
Demo Songs
デモトラックが準備されていて、LANDR Layersを気軽に楽しんだり使い勝手を確認することが出来ます。

From scratch&Sample Remaker
白紙状態のプロジェクトを開きます。
Sample Remakerの方は手持ちのサンプルを読み込んで新しいフレーズを生成してくれるトラックが初期状態で開かれていると言ったものですが、「Import Music」でも使用することは出来ます。
素材の準備
今回はSUNOを使って生成した楽曲のボーカルとアコギのみを使ってみました。
先ほどのデモ動画でもあったやつです。
今回は「悩みがちなアレンジを解決」というテーマなので、コードやビートなどある程度ざっくりした構成が決まっているラフを用意しました。
勿論、ガッツリ作り込んだ完成Verを入れても良いですが、パートが多すぎるとAIが役割を判断しづらくなるため、「骨格だけ」の段階で投げる方が良い生成結果を生みます。

読み込ませると上図のようになりますので、BPMを指定します。
そしてメトロノームを聴きながら、UIのグリッドにファイルを移動させれば下準備は完成です。
レイヤーしていく
+ボタンから新規トラックを作ると、パートやジャンルや雰囲気別のAIモデルを選択することが出来ます。

メーカー側が用意した「Layer」と提携アーティストAIの「Musician」から選ぶことが出来ます。
それぞれ役割や生成出来る楽器やパートが違うのでタグを見ながら判別してください。

「Layer」ではほぼおまかせ状態になりますが、「Musician」では演奏スタイルを設定することが出来ます。

Rhythm – ビートを駆り立てるグルーヴィーなパフォーマンス
Harmony – 曲にハーモニーと形を与える
Melody – 感情的で正確な演奏
Solo – 注目を集める印象的なソロ
Free – 上記のいずれか、またはそれらの組み合わせ

そしてドラッグで演奏枠を指定したら、生成の準備が出来るのですが、その前に「Edit performance」から生成内容をある程度指定することが出来ます。

上図はアーティストのパートによって変わってきます。
使用するエフェクターやサンプルの雰囲気、下部共通でダイナミクスやフレーズの複雑さ、フィルの多さを設定することが出来ます。
ベースなら「タイト・シンプル」、ギターなら「リズム・中くらいの複雑さ」ぐらいから始めると事故りにくいと思います。
美味しいテイクを抜き出す
ここまで出来たらあとは生成しまくります。
同じリージョンに対して最大20テイクまで保存できるので良い感じのものが出来るまで試してみましょう。

一度に最長1分までの生成&最大8トラックしか出来ませんが、ここで大事なのは「通しで完璧であるとは限らない」ということです。
私自身触って感じたのですが、フィルが甘かったり、フレーズがずれたりというのはたまに発生するので、良いとこだけを切っていく作業が結構大事になります。
完成品紹介
さらにもうひとつ作ってみました。
Sample Remakerでループ生成
正直な辛口レビュー
長所
曲に合わせた「専用フレーズ」が出てくる
楽曲のキー・コード・リズムを解析したうえでフレーズを生成するため、「音程がハマらない」「グルーヴが浮きまくる」といった問題が起きにくい印象でした。
また、アレンジ初心者には「こういうフレーズが王道なんだ!」と言った学習面でも有用だと思います。
生演奏ベースのグルーヴ感
実在のミュージシャンの演奏を学習しているため、「人間っぽいダイナミクスとタイミング」を体験できます。
今はまだ使用できるパートやアーティストは少ないですがこれからの拡張性を考えると非常にワクワク出来るツールです。
倫理的にクリーン
前述したように、しがらみや後ろめたさ一切無しで楽曲を作り上げていくことが出来ます。
むしろ使っていくことで世の中のアーティストに還元できるということを考えると積極的に使っていきたいとさえ思えます。
短所
結局はガチャ次第
いくらプロの演奏ベースであるとは言え「完璧」ではありません。
もう一つ作って見ましたが、個人的にはイマイチの出来です。
原曲は跳ねてるグルーヴィーなものですが、そこがあまり解析されずややのっぺりとしたアレンジが組まれました。
ボーカルのメインだけでなく、コードやリズム隊が入っている方がよりイメージに近いものは出来上がりやすいでしょう。
細かくコントロールすることは出来ないので過剰な期待は禁物です。
挙動が不安定
トラックが増えていくと、重くなったり、途中で落ちたりすることが多々あります。
自動保存されているので、作業が白紙になると言うのは私の環境では起きていませんが、ストレスはちょっと溜まります。
UI上でも明記されている通り、現状はまだベータ版での展開ですので改善を期待しています。
あくまで「補助輪」
やはり完成度や細かいコントロールでやや難はあります。
一発で完成形を出してくることはあまり無いし、生成結果が無難なとこに落ち着きがちでもあります。
「完全自動で神アレンジが出てくる魔法ではないが、行き詰まりをほぐしてくれるパートナーにはなり得る」というのが現実的な評価だと思います。
おすすめの使い方
これまでを加味して提案できるおすすめの使い方は下記の通りです。
サビだけ盛り上げたいときのテクスチャ足し
オーケストラやギターバッキングはガチャ次第ですが良い仕事をしてくれるのでサビのみの「ワンポイント起用」で空気感だけ足すのはとても実用的で気軽に試すことが出来ます。
Sample Remakerでアイデア発掘
腐らせがちな手持ちのサンプルを読み込ませてアイデアを膨らませるというのは結構ありです。数秒でネタを作って自分でブラッシュアップさせるのは作曲の腕試しとして使うことが出来ます。


競合製品との比較
Output 「Arcade Co-Producer」
現在、LANDR Layersと最も激しくシェアを争っているのがOutput社のArcadeです。
・特徴
Arcade自体はサンプルベースのインストゥルメントですが、近年追加された「Co-Producer」というAIエンジンが強力です。
・Layersとの違い
Arcade: 既存の膨大な高品質サンプルから、あなたの曲に合うものをAIが「選んで提案」する。
Layers: あなたの曲を解析して、新しい演奏を「その場で書き下ろす(生成する)」。
・比較のポイント
「既存のプロの音をサンプリング感覚で使いたいならArcade」、「自分だけの唯一無二のフレーズを生成してほしいならLayers」という棲み分けになります。
Splice「Create」
サンプルパックの最大手Spliceが提供する、レイヤー構築ツールです。
・特徴
数百万というSpliceのライブラリから、キーとテンポが合うループを最大8つまでAIが瞬時にスタック(重ね合わせ)してくれます。
・Layersとの違い
Splice: あくまで「既存のループの組み合わせ」です。そのため、メロディの細かいニュアンスまでは追従しません。
Layers: 既存のオーディオの「ノリ」や「コードのボイシング」をAIが聴き取って合わせるため、一体感がより高い。
Apple Logic Pro 「Session Players」
DAW標準機能として強力なライバルとなっているのが、Logic Proのセッションプレイヤー機能です。
・特徴
AI Bass Player, AI Keyboard Playerなどが搭載されており、コードトラックを指定するだけで、AIがまるで人間のようなアーティキュレーションで演奏します。
・Layersとの違い
Logic: Logic上でのみ動作するので他DAWでは使用することが出来ません。
Layers: デスクトップアプリで起動、ドラック&ドロップでどのDAWにも貼り付けることが出来ます。
Suno 「Suno Studio」
Sunoは「曲そのもの」を作るツールですが、2026年現在は「ステム(パート別)書き出し」や「アップロードした曲への重ね描き」機能が強化されています。
・特徴
圧倒的な生成能力。鼻歌をアップロードすれば、それに合わせたフルバンド演奏を数秒で作ります。
・Layersとの違い
Suno:著作権の学習元が不透明な点があり、プロの商用利用にはまだハードルがあります。
Layers: 「フェアトレードAI」を掲げ、プロの演奏家のデータを正当に契約して学習させているため、権利関係がクリーンです。
まとめ
LANDR Layersが支持されている最大の理由は、参加ミュージシャンに正当な報酬が支払われる『フェアトレード』な仕組みにあることを再三お伝えしてきました。
勝手に他人の曲を学習させたAIを使うことは、将来的な権利トラブルのリスクを孕むので、「ツール選びの倫理観も実力のうち」ということが言えるかもしれません。


単体でLANDR Layersを契約することは出来ませんが、LANDR Studioのサブスクリプションに含まれています。


Essentialからでも使用できますが他の機能との兼ね合いもあると思うので、ぜひご自分の使用環境を加味して検討してみてください。
ベータ版ということで改善すべき部分もありますが、これからのアーティストの拡張や、更に高品質な生成にも期待は高まります。
既にドラマーとピアニストの実装も準備されているのでかなり楽しみです。

個人的には「AIに任せるところ」と「自分で締めるところ」を明確にしながら使用するのがコツだと感じました。
このブログ記事が、皆さんの音楽制作に役立つ情報を提供できることを願っています。
さらに詳しい情報や、ご意見ご感想があればぜひコメントをお待ちしています。





