あばん
あばん
なんかすごく話題になってるね!
もーだん
もーだん
BFセールで買った!って声よく見たよ!

Woodstock AudioがリリースしたOpen Compressorについて、最初はGUIも普通だし特に気にしていませんでした。
しかし、私が推していて参考にさせて頂いている方々のツイートを拝見して「これは!!?」となったので私も入手してみました。

今回はこのプラグインの売りである「透明性」がどのぐらい透明なのか?
実際の音はどうか?などの検証をお届けしていきます。

内容としては以下の3つ
3つの特徴を解説
徹底解剖してみる
実際の音質デモ

購入を迷っている方や、手にしたは良いけど…。となっている人に有益な記事になるかと思います。
最後までお付き合いください。

製品情報

ボンネットの下を覗いてみよう
Open Compressorは、お気に入りのコンプレッサーのコアコンポーネントに加え、クリッピング、リミッター、自動スレッショルドなど、様々な機能を備えています。さらに、各段階で内部で何が起こっているかを正確に表示することで、技術的なプロセスへの理解を深め、音楽制作においてより良い判断を下すために必要な情報を提供します。
Open Compressorの分かりやすいレイアウトは、強化されたリアルタイムのビジュアル分析、操作しやすいUI、そして明確な用語を採用し、サウンドへの没入感を高めます。
多彩な処理ツールを指先一つで操作できるので、瞬時に視覚的なフィードバックを得ながら、思い通りのサウンドを的確に調整でき、ダイナミクス処理の芸術性と科学性を深く理解することができます。

本家サイトより引用

私がグッと来たのは公式動画の後半で代表の想いが語られている部分です。

「昨今色んなAIツールが台頭してきて何もしなくても良い音が出てくる。
しかし、私は全部を深く知りたいしコントロールしたいんだ。」

的なことを言っていました。
気持ちは非常によく分かるし、コンプは理解しづらいエフェクトの筆頭だとも思います。

そして、このプラグインはMastering.comの制作チームによって開発されており、教育的側面と実用的なプロ機能のハイブリッドとして設計されており、初心者から経験豊富なエンジニアまで、あらゆるレベルのユーザーに価値を発揮します。

あばん
あばん
これでコンプが理解できれば…
もーだん
もーだん
他の製品にも応用が効くもんね!

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3つの特徴を解説

1.5つのビジュアライザー

このコンプレッサーの「透明性」を担保している5つのビジュアライザーを説明します。

波形ビジュアライザー(Waveform Visualiser)
ウェット/ドライ信号の波形、ゲインリダクションライン、コンプレッサー・クリッパー・リミッターの各スレッショルドラインが表示されています。
本プラグインのメインウィンドウでここを見ながら調整することが一番多いです。

倍音ビジュアライザー(Harmonic Saturation Visualiser)
奇数倍音(Odd)と偶数倍音(Even)の分布がリアルタイムで表示されます。いわゆる音の「暖かみ」と言うような音色変化などが倍音と音色の因果関係であることを視覚で確認できます。

EQビジュアライザー(EQ Visualiser)
トーンコントロールが描く周波数特性カーブと、スペクトラムアナライザーが同時表示されます。個人的にはトーンをいじる時のサポートとしてチラ見するぐらいです。

ニービジュアライザー(Knee Visualiser)
コンプレッサーのニー(圧縮開始の曲線)の形状と、現在のゲインリダクション状態が曲線上に表示されます。ハードニー(急峻)とソフトニー(緩勾配)の違いが視覚的に把握でき、初心者にも理解しやすいのでは無いでしょうか。

オシロスコープ(Oscilloscope)
クリッピングとサチュレーション処理を加えた後の波形形状を表示します。
いわゆるビジュアライズされたもので変化を分かりやすく表示したものだと言うことは念頭に置いた方がいいでしょう。

実際にコンプレッサーの中で何が行われているのかをここで全て見る事ができます。
いわゆる「アナログの魔法」とは真逆を行く可視性の高さです。

あばん
あばん
最初はびっくりしそうだけど…
もーだん
もーだん
これが理解を深めてくれるんだよね!

2.モジュラーアプローチ

コンプレッサーの性質を決めるモジュールがGUIの左側に配備されています。
詳しく見ていくと古典的なコンプレッサーの挙動を再現することが出来る事が分かります。

Peak vs RMS検出方式
Peak: 信号のピーク値に即座に反応。デジタルコンプレッサーやVCA型の特性を再現。
RMS: 耳で聞いた時に近い反応を示す。より自然で音楽的な圧縮をするためBusなどによく用いられる。

Regular vs Optical
Regular: アタックとリリースが線形で、設定した時間で厳密に動作する。
Optical: アタック時間が可変、リリースが2段階に設定されることにより滑らかで自然な圧縮特性をもたらす。

Feedforward vs Feedback
Feedforward: 現代的なデジタルコンプレッサーの特性。反応速度が速く、クリーンな動作。
Feedback: 古典的なアナログコンプレッサーの特性。「粘着的」でグルー感のある音。
Feedforwardはトランジェント制御に優れ、Feedbackはダイナミクスを滑らかに「丸める」処理に向く。

後述しますが、この辺の設定によっても倍音構成が結構変わってくるので要チェックです。

3.ダイナミクス処理

初心者にも非常に優しい自動スレッショルド&自動リリースが搭載されています。

個人的にはコンプは「スレッショルドの調整」によって音楽的になったり破綻したりするものだと思っています。
上手く適用できればいいのですが、ボーカルのように入力レベルが変動する素材では、「大きい箇所は圧縮されるが小さい箇所は圧縮されない」という問題が発生しがちです。

それを自動スレッショルドにすると相対的な圧縮を施し続けてくれるため安定した処理を継続してくれます。

また、自動リリースも、マニュアルによると「多くのゲインリダクションが行われている箇所ではゆっくり、少ない箇所では速くリリースすることにより、自然で音楽的になる」とあります。

あばん
あばん
めっちゃ優しいじゃん…
もーだん
もーだん
スレッショルドを見つけるの大変なんだよね。

そして段階的にトランジェントを制御するためにクリッパーとリミッターが搭載されています。

ルーティングの流れを公式マニュアルから引用しますが、抑えておくべきなのはクリッパー→リミッター→コンプレッサーの3段階設計になっていると言う事です。

クリッパーで音を丸くしながら、リミッターでピークを制御する。
多段掛けすることでトランジェントを段階的に制御出来ると言う仕様になっています。

あばん
あばん
とにかくコンプは一番最後!
もーだん
もーだん
ここだけは覚えておかないとね…!

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徹底解剖をしてみる

それではこの記事の本題の部分です。
PluginDoctorを使って細かく見ていきましょう。

周波数分析

ご覧の通りほぼフラットです。
20KHzらへんの超高域が切れていますが恐らくノイズ対策でしょう。

そしてサチュレーションを適用すると高域に変化が出てきます。

Oddで50%、Evenで30%ぐらい適用すると徐々に変化してきます。
しかし上記の適用量の場合、音はかなり歪むので「ほんの少し上がるんだなー」ぐらいの理解で良いと思います。

トーンを適用するとこんな感じです。

ビジュアライザーとほとんど同じでチルトEQを模した挙動で分かりやすいです。
サチュレーションの後に適用されるので倍音をどのぐらい押し出すかと言う調整に使えそうだと感じました。

倍音分析

恐らく一番クリーンであろうRMSタイプ&他のモジュールをオフにした状態がこちら。

それでは倍音を付加してビジュアライザーとの差異を確認してみます。

PluginDoctorの方がより多く派手に出ているようにも見えます。
後ほどのデモで聴いて貰いたいのですが、ビジュアライザーの見た目以上に歪みが強いです。

そしてクリッパーを適用しても倍音は発生します。

ビジュアライザーにはあまり反映されていませんが、かなり奇数次倍音が発生しています。

あばん
あばん
あら?なんだか意外だね…?
もーだん
もーだん
あくまでもビジュアライザーなんだね!

ダイナミクス分析

ダイナミクスに関してはまぁ概ねそんな感じだろうなーと言う内容になりました。

ひとつ面白かったのは自動スレッショルドにした時にアタック部分が丸く無くなっていた事です。

考えてみれば、ずっとリダクションされ続けている状態なので当然かとも思うのですが、ボーカルなどのトランジェント部分が抑えられ過ぎてしまうのは避けたいところです。

なので、使用するパートにもよりますが、自動スレッショルドを使用する際はMIX度合いを変えるか、軽微な適用を心掛けるべきでしょう。

前述したOpticalの2段階リリースもここで確認する事ができます。

スレッショルド以下になったら最初の50%は素早く、残り50%は遅くゆっくりとリリースされます。
これはLA-2Aなどの光学式コンプを模した挙動とのことです。

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実際の音質デモ

色んなプリセットを試しつつ各パートに適用してみました。

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注意点&デメリット

教育的とは言いつつも…

最初の見た目から分かるように圧倒的な情報量に最初は気圧されます。
このツールを通じてコンプレッサーの原理を学ぶ分には非常に有用であるが、初心者の方が万能のコンプを求めて辿り着く製品ではないような気がします。

一応、CLOSEでビジュアライザーを完全に閉じたり、WAVEFORMでリダクション量だけ確認すると言うモードも用意されているので、もし気圧されてしまった時にはこちらを試してみると良いでしょう。

名機の音を再現…?

触れ込みとして、SSLやLA−2Aや1176など名機の音を再現できると謳っています。
レビューを見てみると結構再現度が高いとのことですが、「アナログの魔法」と呼ばれる領域の完全コピーには至っていません。

海外掲示板でも「高級コンプは最後の5〜10%の質感とワークフローの差」という意見がよく見られます。
自分なりに拡張していく場合にはOpen Compressorは良い選択肢になるかも知れません。

CPU負荷がちょっと高め

自分の環境では大体5~6%でした。
めっちゃ高いと言うわけではありませんが、多数のトラックにバンバン挿していけるかと言われると微妙なところです。

バスコンプやボーカルのみに適用というピンポイントの起用であれば十分かと思います。

全部理解したい人大集合

色々言いましたが、個人的にはメインコンプになりそうなぐらい気に入っています。
倍音の調整や多段的に音量を調節できるなどの利点が非常にグッときました。

この記事を書くにあたって、
そもそもコンプの圧縮とはなんぞや?
フェーダーオートメーションとは何が違うの?
名機に付き物の「アナログの魔法」とは?
プラグインの中身は何してるの?

みたいな根本的な疑問がかなり浮かんでしまいました。

まだまだ勉強不足ではありますが、この辺を調べていくうちにかなり面白い事がわかりそうなのでまた別記事にできたらと思います。

Open Compressorは教育者としてもプレイヤーとしても非常に優秀でした。
学習していくために時間コストは割く必要がありますが、それでも楽しみの方が勝る素敵な製品です。

ぜひ皆さんも検討してみてください。

このブログ記事が、皆さんの音楽制作に役立つ情報を提供できることを願っています。
さらに詳しい情報や、ご意見ご感想があればぜひコメントをお待ちしています。

ABOUT ME
池田 耕平
夫婦アコースティックデュオ「アバンdeモーダン」のメンバー。 作詞作曲とDTMを使った編曲やミキシングを担当。 メイン楽器はアコギとハーモニカ。 DAWはStudioOne。 ・音楽制作(BGM・ボカロ) ・夫婦ライバー ・YouTube運営(カバー・DTM解説) ・当ブログ運営