皆さんはレゾナンスサプレッサーをお使いになられていますか?
少し前に下記のような記事を書きました。
少しずつ加筆しながら情報を追加しているのですが、何かしらの技術がシェアされたのかな?と思うぐらい急激に増えてきたレゾナンスサプレッサー。
各メーカーこぞって新製品を出してきていますが、各製品で価格差があったり機能面も微妙に違います。
「1個持ってるけど他の製品が良く見えてきちゃう…」
「これから導入しようと思うんだけど、どれがいいんだろう…」
私自身どのぐらい音に違いがあるのかを検証しておらず、そんな声にも応える意味で比較検証をしてみようと思います。
その音の差分を聞き取れるかはやや謎ですが…。
今回は製品購入を検討している方々に役立つように各製品の概要と音源でのデモ比較。
そして個人的な所感やレビューをお届けしたいと思います。
各製品概要
今回お届けするのは下記の4製品です。
Curves Equator/Waves
M-Clarity2/Techivation
Smooth Operator Pro/Baby Audio
レゾナンス除去プラグインと検索すれば候補に挙がってくるものばかりです。
1.Soothe2/oeksound
個人的にはレゾナンス除去プラグインの筆頭です。
2020年6月リリースとかなりの古株ではありますが、プロでも愛用者が多い製品です。
セールで約20,000円となっており、今回の4製品の中で群を抜いて高いです。
機能面では何も言うことなし、何でも出来ちゃう優等生なのですが今回の比較でどう出るのか非常に楽しみです。
2.Curves Equator/Waves
2024年10月にリリースされた製品。
新たな地平を切り開くとして、WavesEQシリーズの肝入りとして発表されました。
最初は様子見だったのですが我慢できず買ってしまって記事も書きました。
このプラグインの特徴は音源を学習して適切なカーブを設定してくれることです。
1クリックであらかたの調整が済んでしまうのでとても重宝してます。
Wavesは頻繁にセールをしているのでこれが通常価格のような感じになります。
3.M-Clarity2/Techivation
2024年10月末ぐらいにClarity2に進化して「Mix Assistant機能」が追加されました。
先ほどのWavesのように音源をキャプチャーして共鳴や濁りを除去してくれるという優れものです。
他のプラグインとUIが全然違うので操作感含めてレビュー出来たらと思います。
セール時で約7,000円ぐらいとなっています。
セールもたまーにやっているので情報を落とさず収集するのをお勧めします。
4.Smooth Operator Pro/Baby Audio
なんと2025年4月にリリースされたばかりの本製品。
前作のSmooth Operatorと言えば、前述した「Soothe2」の対抗馬として好評を博しており「こちらの方が好き」という評価も得ていたプラグインでした。
そこからクオリティや操作性が向上して新たに登場した本作がこの記事によってどのようなレビューになるのでしょうか?
セール時は約12,800円となっています。
音源で比較
今回は我々のオリジナル曲「おりがみ」という曲の各パートとマスターでの適用で比較していきます。
GIFでひとつずつ比較してもよかったのですが、今回のブログには動画にて検証結果をお届けします。
Soothe2/oeksound
Curves Equator/Waves
M-Clarity2/Techivation
Smooth Operator Pro/Baby Audio
の順番で流れていきます。
アコギ・ベース・ボーカルは生演奏で、ドラムとピアノは打ち込みです。
打ち込み音源は既に音が整えられていたりするのですが、共鳴除去がどのように影響するのか是非聞いてみてください。
マスターではコーラスやブラスなどを追加してほぼ完成形となっています。
設定等も見て欲しいがための動画なのですが少し見づらいかもしれません
何卒ご了承ください。
それではどんどん見ていきましょう。
1.アコースティックギター
2.ベース
3.ピアノ
4.ドラム
5.ボーカル
6.マスターバス
比較結果をレビュー!
生楽器への相性がやはり抜群
聞いてみてやはり「ボーカル」や「アコギ」などのマイクを通して録音したものは見違える効果がありました。
アコギの低域のボヤ付きが無くなりすっきりした印象で歯切れがよくなりました。
打ち込み系の楽器にももちろん使えますが、やはりボーカリストやマイクを使って録音する系の音楽をされている方はこの「レゾナンスサプレッサー」は必携な気がします。
それぞれの音の「型」がある
聞き比べてみると各プラグインの製品自体の音の傾向がありました。
設定がそれぞれ違っているので一概に論じることは出来ませんが、メーカーごとの音の好みは把握しておいても良いかも知れません。
個人的には、M-Clarity2とSmooth Operator Proはスッキリ系でCurves Equatorはややまったり系、中間的で透明度が高いのがSoothe2という印象です。
特に、Curves Equatorは各パートに挿して音の統一感を出させたいのかな?と思うぐらいに他の3製品と違うなと感じました。

個人の好みや感じ方は違うと思うのでこの辺はどうぞご容赦ください。
使用用途の広さは?
M-Clarity2は「レゾナンス除去専門」って感じがします。
Curves Equatorも専門とまでは行きませんが、用途が広いとは言えず「パートを綺麗に整える人」という印象です。
他の2つはディエッサー的な用途にも使えます(プリセットが用意されている)が、M-Clarity2とCurves Equatorはなんかそういうことじゃないんだよって言われているように感じます。
その点、Soothe2はディエッサーとして使うHowTo動画が沢山出回っているほどその使い方が浸透しています。

前述した「透明感」みたいなものが評価されている証左なのでは?と思っています。
逆にSoothe2は高機能で出来ることが多すぎるとも言えます。
まぁ、別でディエッサーを持っていれば問題は無いのですが。
Smooth Operator Proの進化
前作を所有していたのですが、その時はあまり効果や操作感にピンときませんでした。
シンプルなパラメータで画面自体は分かりやすかったのですがカーブの設定方法などの癖に私が対応しきれませんでした。
しかし、このProになってからはめちゃくちゃ直感的で操作感にも効果にも満足しています。
4年の歳月を費やして進化させたメーカーさんの企業努力を垣間見ました。

プリセットも非常に豊富にあり、どれも良い感触のものばかりです。
パラメータ自体が増えてしまったため学習コストは増えましたが分かりやすいしそんなに習得が難しいとも思いませんでした。
で、どれがおすすめ?
Soothe2のプリセットはかなりクセが強い印象です。
狭い範囲で極端な設定のものが多く、ベースのプリセットは3つしかなかったりと、うーむ…と言ったところです。
しかし、プリセットを使わず曖昧な設定でも効果をバシッと出してくれるのがSoothe2です。
使いこなすにはやや難易度が高い気がするので、中級者以上向けな気がします。
逆に、Curves EquatorやM-Clarity2の音を学習して自動で設定を調整してくれるのは本当に助かります。初心者にはここからがおすすめでしょう。
ただ、楽器のトーンを調整したりと他にも色々したいならCurves Equator。
レゾナンス除去という下処理の専門家として使って音作りは別でするならM-Clarity2という感じです。

M-Clarity2は他の3つと違って設定範囲の中で自動で稼働するため、音域ごとの微妙な調整が効きません(20Hz~6.0KHz)。
それが歯がゆいかも?という懸念点はあります。
コスパも考えると?
コスパ的にはSmooth Operator Proがかなりアリだと思います。
次点でCurves Equatorでしょうか…?
Soothe2は高機能で使い勝手が良いのは重々承知なのですが、やはりどうしても高価な印象があります。
でもぶっちゃけさ…
でも正直、私はそんなに各メーカーの音をつぶさに聴き分けられませんでした。
勿論、レゾナンスが除去されているとかなんとなくの音の違いとかは分かりますが、ブラインドテストをされたら全問間違える自信があります…。
それほどまでに各メーカーの技術は拮抗&日々切磋琢磨しており、私たちを余計に惑わしてくるのです…。
聴いても効果の違いが分からない製品を購入するべきなのか?という問いはいったん置いておきます。
とにかくレゾナンス除去をしたい!そのためにこの記事を読んでいるという人のために私からの提案です。
音が聴き分けられて好みが見つかった人
この方は、ぜひそれをご購入下さい!
もしすでに所有しているのなら、それを愛でてあげてください。
聴き分けられなかった人
この方の場合、もし購入を検討しているなら…
超個人的で独断的な見解としては、
ならSoothe2
ならSmooth Operator Pro
ならCurves Equator
ならM-Clarity2
となります。
参考になれば嬉しいです。
魔法みたいで魔法じゃない
こういうレゾナンス除去プラグインを使うたびに思うのですが、ソロで聞いて「うおおおお!めちゃくちゃ変わったー!すげー!」ってなってる時は大体かけすぎになってます。
「んんー?少し変わったなーすっきりしたなぁ~」ぐらいの効果で各パートを積み上げていくと、出来栄えが変わってきます。
魔法のようなプラグイン達であることは変わりないのですがその魔法を感じないぐらいで運用することが大事だと思っています。
これらのプラグインに過度な期待をしてしまうと「あれ?こんな感じ?」ってなってしまい買い物そのものを後悔してしまいかねません。
そしてレコーディング技術や打ち込みの技術がものをいうのだと思い知らされるまでがワンセットです。
それでも、これらのプラグインを正しく使えば曲のクオリティがぐんと上がることは間違いなしです。
是非、デモを使ってみたり、メーカーのHPを覗いたりしてみてください。
1.Soothe2/oeksound
2.Curves Equator/Waves
3.M-Clarity2/Techivation
4.Smooth Operator Pro/Baby Audio
このブログ記事が、皆さんの音楽制作に役立つ情報を提供できることを願っています。
さらに詳しい情報や、ご意見ご感想があればぜひコメントをお待ちしています。