世界各地の土壌で育まれてきたそれぞれ特徴のある民族音楽。
民族感を前面に押し出した曲も心を打ちますが、曲の中にスパイスとして入っているだけでも彩りを加えることが出来ます。
インドっぽさ、中東っぽさ、日本っぽさ…などなど沢山ある中で今回取り上げるのはアイリッシュ音楽の音源です。
アイリッシュやケルト音楽などとも呼ばれたりしますが、ゲーム音楽に用いられたり独特なファンタジー感が歌ものの曲でもたくさん使われています。
個人的には大好きなジャンルで、民族音楽の筆頭と言っても良いかも知れません。
アイリッシュ音楽を制作するために必要な楽器群たちを網羅したNative Instruments社の「Spotlight Collection: Ireland」。
そして、多くの音源を内包している「KOMPLETE15」の音源達を一部紹介していきます。
またこの記事の別の側面として「アレンジ・編曲」としてどうやって作っていったのかも多少お見せできればと思いますので楽しみながら読み進めてください。
製品概要
・本格的なアイルランド楽器
ティンホイッスル、フィドル、バウロン、アイリッシュハープなどを含む、11種類の伝統的なアイルランド楽器の本物のサウンドを探求。
収録された種類豊富なスケールとリズムを活用して、複雑なメロディを演奏。
内蔵のミキサーと強力なスタジオエフェクトを使用して、リアルなアレンジを制作。・アイルランドのエッセンス
イリアンパイプスの幻想的な響きからバンジョーの活気のある音色まで、 Spotlight Collection: Irelandは、アイルランドの伝統的な11種類の楽器を著名演奏家ノエル・ヒルと共に、マルベイの中心地で録音しました。メロディを重ねて元気なアンサンブルを作るもよし、モダンなプロダクションにアイリッシュサウンドを加えるもよし。このコレクションはアイリッシュ音楽の伝統的な世界への本格的で刺激的な旅を提供します。
公式のデモ動画で全て事足りてしまうんじゃないか?と思えるほど良い動画なのでぜひ見てみてください。
全11種類のアイリッシュ音楽に多用される楽器とそれぞれのフレーズを収録しています。
楽器打ち込みをする際に、それっぽいフレーズを綺麗に打ち込むのはかなりの技術と知識が必要になりますが、この音源ではその心配がありません。
実践例と解説
「Spotlight Collection: Ireland」の紹介のために実践例として私のオリジナル曲を使いつつ、他のKOMPLETEに入っている音源も紹介していきたいと思います。
Irish Harp
ファンタジーと言えばハープ!というイメージが私の中で色濃くあります。
楽曲の中ではイントロとサビの伴奏に使用しました。
世界観を作るのに非常に重宝する楽器のひとつです。
このシリーズの良いところ・特徴としては、フレーズをいくつか収録してくれているところです。
MIDI出力も出来るので実際のコード進行にこちら側で編集することも出来ます。
Button Accordion
各サビ後の間奏のメロディに使用しているアコーディオン。
これも雰囲気が一気に出ます。
またメロディを奏でる楽器のMIDIは一部他の楽器と使いまわすことが出来ます。
アイリッシュ音楽では主旋律をユニゾンして奏でることも多いのでこれで一体感のあるそれっぽい曲を作りやすくなります。
Bodhrán
フレームドラムの⼀種で、アイルランドの伝統⾳楽において最も重要な打楽器です。
別KONTAKT音源を以前使っていましたが、MIDIフレーズのサポートがあるためこちらの方が便利でなんだかんだで多用しています。
2番頭のメロディが変わるAパートで使用しています。
スティックの種類も3つ用意されており音の質感を変えることが出来ます。
他のケルト音源達
今回、曲中で使ったのは上記3つですが他の楽器たちも非常に優秀でアイリッシュ音楽を作る際に威力を発揮する者たちばかりです。
当然各楽器のMIDIフレーズも入っています。
どれもそつなくクセが無い標準的でキレイな音源です。
また別の曲を作る機会があればぜひ出動させたいと思います。
KOMPLETE15との組み合わせ
そして「轍なき森」の中でKOMPLETE15内の音源をかなり多用しています。
「Spotlight Collection: Ireland」を補強するように組み合わせながら作りましたので一部紹介していきます。
Scene: Saffron
シネマティックなサウンドデザイン系の音源です。
イントロの幻想的なキラキラ感やぽわぽわした感じを出したくて使ってみました。
GUI中でXYパッドが操作出来るので、音を少しずつ変化させて表情を付けることが出来ます。
伴奏のピアノと先ほどの「Irish Harp」を組み合わせて、リズムトラックを付けてみました。
Piano Colors
正統派のピアノ音源というわけでは無く非常にクセがあります。
プリセットも不思議な音が多いこの音源ですが、幻想的なプリセットを選んで少し手を加えました。
1番2番のAメロパートでひそやかに鳴らしています。
少し曲にアクセントが欲しい時にめちゃくちゃ使えます。
Session Guitarist – Picked Nylon
前述した「Bodhrán」を使用したセクションで使ったナイロンギターです。
実際にギターを弾くことは出来るのですが、最近は音源で鳴らすことにハマっています。
実際に録音をする手間やフレーズの自由度と音のリアルさを天秤に掛けた時に割と融通の利く音源が便利だと最近になってやっと気づきました。
Choir: Omnia Essentials
クワイア音源の「Choir: Omnia Essentials」です。
今回の曲では4声でラスサビだけに適用しています。
荘厳・ファンタジー・中世みたいなイメージで盛り上がりを作ることが出来るので使ってみて良かったと思いました。
音源の競合は?
思いつくところで言うと、「UVI World Suite3」や
または最近アップデートされた「Ethno World 7」でしょうか。
どちらも幅広く世界中の民族楽器を収録していて、同じようなアイリッシュ系の楽器やフレーズもあります。
KOMPLETE15は7種類

NI社のスポットライトシリーズは現在は7地方の民族楽器を扱ってくれています。
しかし、ここが大事なのですが「Ireland」や日本や中国の楽器が入った「East Asia」はKomplete 15 Ultimate以上にのみ収録されています。
この「Ireland」を使いたいがためにUltimateにしたと言っても過言ではありません。

フルバージョン価格はびっくりするぐらい高いですが、大体6月と12月に半額セールが行われることが多いです。
そして、「Ireland」もそうなのですが、NI社の音源を単品で買うのはあまりお勧めしません。
単品購入で\15,300-という価格なのですが、セール時を狙ってKOMPLETEを購入した方が他に付随してくる音源やエフェクトの量的に間違いなくお得です!
前述した「UVI World Suite3」や「Ethno World 7」は民族音楽に特化した音源なので汎用度合いで言えばKOMPLETEの方が圧倒的です。
ほんとに買って良かった
私はKOMPLETE15をアップグレード価格で入手しましたが、それでも4~5万円はした気がします。
アイリッシュ・ケルト音楽の制作時にはここからスタートすればまず迷わないし、音色に引っ張られて曲作りが進むということもよくある話です。

細かくスケールの割り当てを変化させることも出来るし、

キースイッチによる奏法もたくさん網羅されています。
そして、この記事のもう一面として書いてきた「アレンジ・編曲」の部分も音を重ねて幻想的な世界観になるように苦心した部分でした。
このブログ記事が、皆さんの音楽制作に役立つ情報を提供できることを願っています。
さらに詳しい情報や、ご意見ご感想があればぜひコメントをお待ちしています。