【完全比較】SSL 4K B・E・Gはどう違う?DTM初心者が迷わない選び方と使い分けを徹底解説!



ミックスの勉強を始めると、必ずと言っていいほど耳にする「SSL」というブランド。
伝説的なコンソールを生み出し、現代では他のプラグインメーカーもこぞってSSLをモデリングしたプラグインを開発しています。
最も有名なのは「SSL 4K E」というモデルですが、他にも「B」や「G」と言ったシリーズもあり、ノブのカラーが違うと音のキャラクターも変わるというなかなかに初心者泣かせのプラグインでもあります。
そして、いざ調べてみると
「4K Bって何? EやGと何が違うの?」
「どれを買えばいいの? 全部必要?」
「使い方が分からなくて、立ち上げても何も変わった気がしない」
こんな疑問を持ったことはありませんか?
この記事では、本家SSLが出している3種類の4Kプラグイン(4K B・4K E・4K G)を初心者向けに徹底比較します。
最初に結論を言うと、
「E」はアグレッシブでパンチのある音。
「G」はハイファイで抜け感のある音。
「B」ビンテージで濃密な音。
と言う評価です。
「何が違うのか」「どれを選べばいいのか」「どう使うのか」を、集めた情報と個人的な見地から実際に使いながら解説していきます。
SSL 4000 E
4K E プラグインは、4000E コンソールのチャンネルストリップを忠実に再現したソフトウェア エミュレーションです。歴史上最も高く評価され、影響力のあった音楽制作ツールの一つである 4000E のサウンド、処理、ワークフローを忠実に再現します。1979 年に発売された 4000E コンソールは、音楽制作の方法を大きく変える重要な役割を果たしました。その力強く迫力のあるサウンド、高度な処理ツール、そして画期的な柔軟性により、瞬く間に世界のトップスタジオで選ばれるツールとなりました。4000E コンソールは 80 年代から 90 年代にかけてスタジオシーンを席巻し、その時代を象徴するアルバムやトラックのサウンドの象徴となりました。多くのプロデューサーやエンジニアは、このコンソールが「現代的な」制作技術の進化と現代音楽のサウンドに大きな影響を与えたと考えています。
特徴

ロックやパンクの定番サウンドを形作ったEシリーズ。
特徴は「どこにでも使える万能さ」と「多彩なEQオプション」です。

Eシリーズには上記画像のように3種のEQタイプ(Brown/Black/Orange)が設定されています。
これらはEQカーブや倍音特性がそれぞれ違うため異なるキャラクターを付与することができます。

パンチ感や中音域の存在感が増すため、使っていて非常に気持ちいいです。
海外掲示板でも「シリーズ内で一番万能」「ヴィンテージカーブと歪みが音楽的」と高い評価を得ています。


使えるジャンルも幅広くRock・Pop・R&Bなど、歌もの系にもしっかり合います。
いわゆる「SSLの音」と言う定番サウンドを求めている方はこれがあれば大丈夫です。
デモ音源
以前Waves系の動画で使ったプロジェクトを流用して、SSL 4Kシリーズで色付けしました。
ガツっと前に出て各パートがエネルギッシュになりました。
前述したEQオプションは「黒色」の持つ「タイトさ」が非常に好みでした。
只々、自分が気持ち良くなるように自由にEQを施したつもりなのですが、それでも破綻せずいてくれます。
EQセクション

このシリーズの特徴である各EQタイプの変化を確認します。
ノブ上の数値は同じですが、EQカーブが全く違うことがわかります。
デジタルアナライザーを見ながらミックスするのも大事ですが、ノブを直感的に回す大事さを改めて知りました。
SL 4000 G
Solid State LogicのSSL 4K Gプラグインは、SSL 4000 Gチャンネルストリップの決定版です。オリジナルの設計者によって、当時のサウンドを忠実に再現するために開発されました。Pink ‘292’とBlack ‘242’EQのコンポーネントレベルに至るまで、詳細な回路モデリングと、よりタイトで洗練されたサウンドのダイナミクスセクションを備えた4K Gは、史上最高のレコードに隠された象徴的なサウンドを堪能できます。
特徴

前述のEシリーズを受け継ぎ「最高傑作」となったGシリーズ。
その特徴は「ハイファイな艶」と「洗練されたサウンド」です。
「洗練されたサウンド」の理由として新設計のピンクノブとVCAフェーダーによるよりハイファイな倍音特性によるものです。


一応オプションとして、前述のブラックノブも付いていますので「E」と「G」の2台のいいとこ取りをできていると言えばそうなのかも知れません。
デモ音源
前述のEシリーズが、「音を塊で出してくる」印象なのに対して、「分離感と存在感」を感じさせるのがGシリーズです。
汚れると言う感じはあまり無いですが、その分ミックス内で行われる出したり引いたりの「整理」に向いている印象です。
海外掲示板のレビューでも「ミックスが締まる」「アタックが出る」「デジタル素材に合う」と言う評価が多く、その一方で「クリーンであるが故に冷たく感じる」と言う意見もありました。
EやBシリーズと比べて、と言う意味だと思うのですがそれなりに歪みは出ているので「クリーンさ」の売り言葉は「洗練された」と言う言葉に変換するのが良いかも知れません。

EQセクション
このシリーズを語る上で欠かせないのが「プロポーショナルQ」と言う特性です。
これは、ブーストやカットの量を大きくするほど、Qの幅が自動的に「鋭く(狭く)」なる機能です。

(むしろ他の帯域を下げることで急なスロープを作り、Qが狭まっているかのような印象を与えているように感じれる)
つまり、ある特定の音をピンポイントで操作出るので「派手」「効きが良い」と言う印象を感じやすいです。
また曲中での「抜け」や「輪郭の強調」が出来ますが、音楽的破綻と背中合わせなのでブーストのしすぎには要注意です。
個人的には、Gシリーズは「洗練されたサウンド」でありながら音作りに関してはかなりアグレッシブに働く印象です。
見た目は清楚なのに、実は裏でかなりやんちゃしているお嬢様的な印象といえば伝わるでしょうか…?


SL 4000 B
SL 4000 Bは1976年に発売され、ロンドンのタウンハウス・スタジオの「ストーン・ルーム」で使用されたことで有名です。このコンソールは、フィル・コリンズの「イン・ジ・エア・トゥナイト」、バグルスの「ビデオ・キルド・ザ・ラジオ・スター」、ピーター・ガブリエルの「イントルーダー」など、数え切れないほどの伝説的なレコードを生み出しました。4K B プラグインは、SSL 360° プラグイン ミキサー エコシステムとの優れた統合と専門的にモデル化されており、SL 4000 B チャンネル ストリップの本格的なエミュレーションであり、トーン、パンチ、豊かな非線形アナログ特性を備えています。
特徴

前述までのシリーズの前身となったビンテージなBシリーズ。
その特徴は、「圧倒的な太さ」と「ビンテージ感」です。
SSLシリーズの原点となった音はキックやベースなどの低音処理に関する評価が非常に高いです。
コンプレッサーの挙動もSSLバスコンプを踏襲しており細かい設定はしにくいものの特徴的な接着感が低域処理やバストラックへ相性が良いです。
万能とは言いづらいですが、荒々しいロック、HipHop、Lofi系などハマれば唯一無二の味を出し、一部にスパイス的に使用することもオススメです。
デモ音源
使ってみて思ったのですが、メーター以上に大きく太く聴こえます。
各パートの存在感があるのにピークは低いので音圧を上げやすい結果となりました。
ただ、かなり汚れやすくメリハリが消失してしまいがちとも感じました。

なのでトラックごとの色付けの濃さを調節していくか、EやGの別シリーズを使用してコントラストを出していくのをオススメします。
また、Bシリーズのみの特徴としてコンプ部に「ディエッサー」の設定が用意されています。
動画のボーカルに適用しましたが結構好みの効きです。



EQセクション

他のシリーズと違って非常にシンプルな作りになっています。
迷える範囲が少ないので柔軟性が低いとも言えますが、初心者の方にとっては扱いやすいと感じるポイントでは無いでしょうか。
コンプ部もシンプルであることから、このBシリーズは「濃厚な色付け」に特化していると割り切って考えると扱える場面が増えると感じました。
ここまでのまとめ
ここまでの3つをまとめると以下のようになります。

ここが冒頭で言った、
「E」はアグレッシブでパンチのある音。
「G」はハイファイで抜け感のある音。
「B」ビンテージで濃密な音。
の結論部分です。
先ほどまでのデモ音源では、自分なりに良さを引き出すための数値調整をしてましたが、各ノブの数値を全く同じにして聞き比べをして行きます。
聴き比べ
ここでは、倍音やEQポイントの違いに着目して聞いてみてください。


じゃあ、ブラインドテストを…なんて野暮な真似はやめておきましょう。
意外と知らない落とし穴
「ゲインステージング」について
実は、アナログコンソールは適切な電圧(-18dBFS(0VU))でベストな音質になるように調整されています。
前後に音量調節プラグインを置いて、音量を整えることを「ゲインステージング」と言います。
後述しますが、プリアンプ部でも歪みや音量調節は出来るので神経質になる必要こそありませんが大小差が激しすぎるとプラグインの有無での比較が非常にしづらいのである程度整えておくことをオススメします。
VUメーターを見るのが一番確実ですが、INPUTのメーターが6前後〜ギリギリ0に振れるか触れないかの間に入れておくと大体いい塩梅になります。
プラグイン内部の3段階ゲイン構造
4Kプラグインには以下の3つのゲインステージ(音量・音質調整部)があります。
それぞれが独立した音の変化をもたらします。

倍音が付加される「プリアンプ部」は分かりますが、実はフェーダー部分でも歪みは発生します。

フェーダーをわずかにドライブさせることでわずかにサチュレーションを加える事ができます。もちろんやりすぎは厳禁ですので1〜3 dB 程度が目安です。
そして上がりすぎた音量はアウトプットのトリムで下げます。


EQの挙動
先ほども少し書きましたが、EQセクションの分析をしていて、ブーストをすると他の帯域を下げにかかってくることを発見しました。
特にEシリーズが顕著です。

HFを動かした時もかなり顕著ですが、「ブースト」と言うより他の帯域の「カット」の方が大きいのではと思ってしまいます。
結果からすれば同じ事なのですが、音量に惑わされないようにすることと、自分の耳を育てていくことの大事さを痛感しました。
思い描くEQカーブとは違っていても、いい音に繋がる可能性を潰さないように心がけて行きましょう。
初心者におすすめなのは…?
ひとつだけ選ぶなら「4K E」がオススメです。
理由としては下記の4つです。
- 3種のEQ(Brown/Black/Orange)で対応できる素材の幅が最も広い
- コンスタントQ設計でEQが「崩れにくく」、初心者でも扱いやすい
- 80~90年代ロック・ポップの「SSLサウンド」を学ぶ教科書として最適
- 解説動画でも4K E(またはE系)がとてもよく使われている
「SSLらしい音」「万能感」「業界標準」と言う意味で、これを知っておけば自分が求めている音の方向性がより理解しやすくなると思います。
慣れてきて、「モダンなヌケ感が欲しい」と感じたら「4K G」を。
「ヴィンテージの空気感」が欲しいなら「4K B」を、と言う感じで活用の幅や足りない部分の補強を進めていけます。
もし予算があるならSSL純正の「4K Bundle」(B+E+G)を買ってしまうのも手かも知れません。最初からキャラクターの比較ができるし、前述したようなパーツごとの使い分けというのも可能になります。
SSL本家サイトでは「Complete Subscription」と言うサブスクが設定されており、3本を含む全プラグインが月額でアクセスできるため気になる方はチェックしてみてください。
やっと分かったぞ…
SSL本家が出している4Kシリーズプラグイン。
実は、「手に入れたけどレギュラー化しなかった」プラグインの中に「SSL 4K B」の名前があります。
動画の中で「他との違いが分からない」と述べていましたがこのように聞き比べてみるとかなりはっきりと理解する事ができました。
SSL風味をミックスの中に取り入れることも大事ですが、個人的にはアナライザーを見ずに耳でノブを回してミックスする感覚がこんなに楽しいものだったのかと再発見できたのが大きな収穫です。
世の中の色んなTipsに惑わされず自分の感性のままにミックスを進めさせてくれるSSLシリーズの偉大さと伝説になった所以を少しばかり知る事ができました。
ぜひ気になった方は頭を空っぽにして無心で使ってみてください。
新しい楽曲の一面を知る事ができます。
このブログ記事が、皆さんの音楽制作に役立つ情報を提供できることを願っています。
さらに詳しい情報や、ご意見ご感想があればぜひコメントをお待ちしています。



