【完全ガイド】Waves Curves AQ / Equator / Resolve+IDXで作る「整うミックス」入門!出来ない所を埋める方法も解説!



視聴者の方からご質問を頂きました。

過去の動画や記事でも取り上げてきたのでこの質問を頂けたのでしょう。
非常に嬉しく思うと同時に考える余地のある良い質問だと感じました。
これら4つのプラグインはとても賢く自動化されたプラグイン達です。
しかし、賢いがゆえに間違った役割をあてがってしまうとミックスが迷子になったり思ってた音と違うという事態に陥ってしまいます。
今回はいただいた質問に回答しつつ、
それぞれの役割の明確化
挿入順の考え方
足りない部分をどう補うか
を徹底的に考察・解説していきます。
結論と役割の定義
まずひとつ目の質問への回答です。
結論として、1トラック内でのルーティングは次の順番をおすすめします。
・Equator=掃除・共鳴除去
・IDX=演奏補正的なエネルギー調整・ダイナミクス向上
・AQ=音作り(トーンメイキング)
・Resolve=他トラックとの衝突回避
この順番で実際にミックスしたものが下記になります。
もちろん、素材や狙いによっては順番を入れ替えるケースもあります。
とはいえ、最初に「標準パターン」を決めておくと、迷いなく挿していけるので、この記事ではこの流れを軸に話を進めます。
4つのプラグインの解説
それでは、各プラグインでどのような効果があったのかを見ていきます。
同時に私が「どんな役割を期待して」使ったのかも解像度を上げて整理していきます。
1.Equator
主要トラック(ボーカル、ベース、アコギ、)にプラグインを適用していきます。
あえて、生録音したものが多い曲にしましたので、ボーカルやベースのモコモコした中低域がスッキリしたのがわかるかと思います。
作業内容はLEARNボタンを押してメインノブを下げていっただけです。
もちろん細かく設定を追い込むことも出来ますが、「下処理」的な役割なのでここで全部を整えようとはしません。
ここで「濁り」や「埋もれ」を取り除きますが、まだ曲全体としては地味な印象です。
2.IDX
次にIDXを投入します。
ここでクリアさやパンチ感を向上させていきます。
余分なエネルギーを抑えてさらにスッキリとした音にします。
公式の推奨使用法は「トラックの1番最初に挿す」なのですが、今回は2番目に適用しました。
この辺は各自の判断による部分です。
ここでの注意点は「やりすぎない」ことです。
どんどんパンチが増していって気持ち良くなっていくのですが、曲全体を聴きつつ、自分の感覚の少し手前で調整しておくと後々の処理に余白が出来るのでおすすめです。
かなり印象が明るくなったというか前向きになったように感じます。


IDXはあくまで、「エネルギーのムダを減らし、必要な部分を前に出す」ことが主眼です。
そのため、ダイナミクス安定化をIDXに背負わせようとすると、「なんとなく元気になったけれど、レベルはバラバラ」という状態になりがちです。
この点は、後半の「残り30%をどう埋めるか」の章でも改めて触れます。
3.AQ
Curves AQでトラック全体のトーンを調整していきます。
やはり周波数を直接いじっているのでここで一気に変わりますね。
作業内容は、LEARNで読み込んだ後、提示されたカーブから気に入ったものを選びます。
ほぼそれでOKなのですが、ローカットを入れたり、赤と青のスライダーをいじって増減量を調整しています。
これまでの処理は「引き算的」に要らない部分を削ってきましたが、ここで「足し算的」にそのトラックの長所を伸ばしていきます。
ダイナミックEQは動的な処理を行うのでやりすぎると音量がブレたりしがちです。
ボーカルを調整していて不自然さを感じたので少し増減量を抑えたりSTATIC側に寄せたりして対応しました。
4.Resolve
そして最終段階です。
今回は曲全体の整理役として「キック→ベース」と「ボーカル→オケBUS」の2つに適用しました。
衝突回避の役割通り、ボーカルが浮かび上がって、ベースが下がる代わりにキックが聞き取りやすくなりました。
前段までで音の調整は終わっているので、元のキャラクターを出来るだけ変えずに、「必要最低限」のスペースだけ開けるという意味では、ダイナミックに追従しながら処理をしてくれるResolveはいい選択肢です。


これでひとまず完成です。
残り30%を埋める要素
2つ目の質問「ミックスの完成度をどこまで高められるか?」は70%ぐらいまではいけると思っています。
前述のデモ音源でそれを実感して貰えていたら嬉しいです。
じゃあ残りの30%は何かというと、これら4つのプラグインが「出来ないこと」を整理していくと見えてきます。
そもそも備わっていない機能
アナログ的な歪み・倍音によるキャラクター付け


4つとも基本はクリーンな処理を前提としており、テープ/チューブ/トランス系のサチュレーションは搭載していません。
中域の密度感や、耳に心地良い軽い歪みを加えるには、別途サチュレーションが必要です。
リバーブやディレイによる空間演出


これらは完全に別カテゴリのエフェクトです。
Curves系でどれだけ整えても、「距離感」「奥行き感」「残響の美しさ」は空間系に頼るしかありません。
役割が微妙に違う機能
ダイナミクスの安定化



先ほど述べたように、IDXは「エネルギーのムダを減らしてパンチと明瞭度を上げる」ツールであり、RMSを揃えるレベリングコンプではありません。
ボーカルの細かい抑揚を安定させたり、アコギのストロークの粒を揃えたりするには、通常のコンプレッサやボリュームオートメーションが必要です。
低域の処理/ハイパスフィルター

AQやEquatorでも低域を削ることは可能ですが、
「キックは30Hzから切る」「ボーカルは80Hz以下を落とす」といった、明確な周波数でのローカットは、やはり視覚的に分かりやすい一般的なEQに任せた方が安全です。
具体的な補完チェーン
ボーカルとドラムの例を考えてみます。
ローカット+軽い整音(Pro-Q4など)
コンプレッサー:ダイナミクス安定化(1176やLA-2Aなど)
Equator:共鳴と耳障りの軽減
IDX(Soft):エネルギーと明瞭度の最適化
AQ:音作りとトーン調整
サチュレーション(テープ/チューブ系)
リバーブ/ディレイ:空間演出(センドリターンで)
ローカットEQ(不要帯域を整理)
Equator:耳障りな部分を削る
IDX(Hard):パンチを追加
AQ:全体のトーンを整える
サチュレーション(テープ系で厚みをプラス)
バスコンプ:グルーヴ感をまとめる(SSLやVari-Mu系など)
Resolve:ベースをサイドチェインし、キックとローエンドがぶつかる帯域を整理
このように、Curves+IDXは整えるのは非常に得意ですがあくまでも土台や基礎の部分においてのみです。
「サチュレーションやコンプはキャラ付けと安定化のため」という構図を明確にすることで、4つのプラグインを無理なく自分の定番チェーンに組み込めるようになります。
ということで、前述したプラグインを使いつつ「コンプ・歪み・空間系・ローカット」を追加して再度作ってみました。


マスターバスでの応用
実は、マスターでこれらを使うのが結構しっくりくるんじゃね?と個人的には思っています。
前述したように「キャラ付けは苦手だが、綺麗に整理してくれる賢さ」がマスター段では非常に有用だったりするのです。
ともあれご覧ください。
・Equator:軽い共鳴取り
・IDX(Soft、Amount控えめ)
・AQ:全体のトーン調整
・最終リミッター
IDXで個々のトラックが重なった際の「ムダなエネルギー」を整理してしまうことで、後段のEQとリミッターの効きを良くしています。
正直、IDXの1番良い使い方は「マスター段の1〜2番目」と言いたいぐらい多用しています。
ただし、Amountを上げすぎるとミックスのダイナミクスが縮んでしまうので、10〜20%程度から始めると良いでしょう。
質問者さんありがとう
改めて非常に良い質問を頂きまして感謝いたします。
私自身の整理にもなりましたし、プラグインの得意不得意を見つめ直すことが出来ました。
ここまで見てきたように、Curves3兄弟とIDXは、それぞれ明確な得意分野を持ちながら、信号処理の流れとしてもきれいに並べられるプラグイン群です。
1つ目の質問の回答として、おすすめの順番は下記の通りです。
・Equator:掃除・共鳴除去
・IDX:演奏の見せ方を整えるエネルギー調整
・AQ:AIトーンメイキングによる音作り
・Resolve:トラック同士の衝突回避・マスキング解消
そして2つ目の質問の回答として、ミックスの「土台」「バランス」「聴こえ方」は70%ぐらいまでは高められます。
残った30%に「歪み・空間系」などのキャラ付けや演出を入れていくとミックスの完成度はさらに向上するでしょう。
今回のWavesのプラグインは非常に賢いがゆえに、上品で優れた土台、スタート地点を作ってくれますが、誰が作っても同じような「平凡」や「無味」になりがちです。
そこから先のゴール地点までを差別化するために残り30%を工夫する必要があると感じましいた。
ぜひこのワークフローを体感していただいて気付いた事などあればコメントで教えてください。
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