【厳選おすすめ17+1選】AI時代に響く「不完全さ」の美学。1年半ぶりにPianobookを開いたら、やっぱり最高の無料音源パラダイスだった



気付けば、Pianobookを取り上げるのも1年以上ぶりになりました。
この1年で音楽制作環境は大きく変化し、AIを使った音源や自動生成が本当に増えました。
それらは「速く」「整っていて」「破綻のない」サウンドを目指し、急成長を遂げていることは皆さんも実感していると思います。
そんな時代だからこそ今回改めて紹介したいのがこの「Pianobook」というサイトです。
Pianobookとは?
Pianobookは世界中のクリエイターが自作した音源を投稿&共有しているサイトです。
「Spitfire Audio」の共同創設者が立ち上げたプロジェクトサイトであり、「プロが使うし、作ってる」音源が数多く寄せられています。

以前は名前の通りピアノの音源が中心でしたが現在ではストリングス、木管、合唱、ギターなど多くのジャンルのサンプルが揃っておりその数は1700以上に上ります。
そして、その多くが無料となっている点も特筆すべき点です。
何よりPianobookの音源は「整いすぎていない」のが魅力の1つです。
市販の有料音源は確かに音程もバランスも安定しています。
しかし、ここの音源は人の手触りや温もり、ピッチのばらつきや、部屋なりなど「不完全」な部分が強烈な個性となりその人の「作品性」となって現れています。


今回の厳選15+1個について
今回紹介する15個は、単に珍しいものではなく、次の基準で選んでいます。
・曲作りに使いやすい品質の高さ
・無料で面白い質感の個性の強さ
・各ジャンルから出来るだけ多く選別
「+1」に入れる音源は、特に私が強く推してるものです。
15個はバランス重視ですが、「+1」だけでもぜひチェックして取り入れてみて下さい。
音源紹介
1.The Spellsinger
築173年の教会で録られたクワイア音源です。
音域は3つのセクションに分かれています。
高音域:心に残るフレーズのワンショット
中音域:ピッチと強弱が揺れ動く、長く変化するループに優しい装飾音
低音域:わずかなベンドとピッチのちらつきを伴う、静かなループ状のドローン
音源自体もユニークなのですが、GUIも個性的です。

一見すると設定しづらいように見えますが、耳や感覚を頼りに設定を作り込んでいくとボイスサンプルの魅力と重なって不思議な感覚に陥ります。
曲の中でのスパイスとして役立ってくれそうだと思い、取り上げてみました。
2.SOLO BRASS UNTAMED – Demo
次はWESTWOOD社のブラス音源です。
ダウンロードして使ってる時に気付いたのですがデモ版でした。
しかし有償版はすでに販売終了になっており無料版が遺物として残されている状態です。
アーティキュレーション
チューバ – Soft Air
トロンボーン – Improvisations A
トロンボーン – Tonguing
ユーフォニアム – Vibrato Slow
ユーフォニアム – Short
フリューゲルホルン – Improvisations C
トランペット – Short
オーケストラ用のブラスではありますが、温かみがあり良い味を出しています。
3.Cello Ensemble
次はダイナミックなチェロ音源です。
演奏家の呼吸まで聴こえてきそうな生々しさが良いです。
3つのダイナミックレイヤーで構成されており、SEリボンマイクをWarm AudioのプリアンプとGolden Ageのコンプレッサーを通して録音しました。
さすがに高級有料音源と比べると打ち込み時の取り回しの難しさはありますが、音源が持つパワーで説き伏せられてしまいそうな説得力があります。
4.Found Strings
またストリングス音源です。
非常にシンプルでありながら高音質な音源です。
UIを見て分かる通りアンサンブルとして必要な音域を概ねカバーしてくれています。
アーティキュレーションは一つしか搭載して無いですが打ち込みによって表情を引き出すことも可能です。
5.Spring Chimes
14種類のピアノブックのベルとマレットのサンプルパックを重ね合わせた音源です。
可愛らしさもあり無料とは思えないクオリティです。

またパッチ(プリセット)も6種類準備されていて音の変化を楽しむことが出来ます。
下記の動画では、5番のRainFallというパッチを使用しました。
01 アンサンブル、02 ハーフセクションソフト: まろやかで柔らかい楽器のみ、03 ハーフセクションブライト: 最も鋭く明るい楽器のみ、04 ブルーミング: 楽器の半分がランダムに音と 1 オクターブ上の音を演奏、05 レインフォール: すべての楽器がランダムに音を演奏、より混雑、06 スプリングパッド: 前のパッチのサンプルを使用して作成された 6 つのパッド信号。
6.“Vignettes” (Folk)
バリトンバンジョー、フィドル、アコースティックギター、そして3つのパッドで構成された音源です。
パッドも3つ搭載されているのでかなり遊ぶことが出来る音源です。
バリトンバンジョー、フィドルのピッキング、そしてワイドステレオのアコースティックギターをフィーチャーしました。さらに、3つのパッド、グラニュラーフィドルパッド、ペダルスチールとサイン波、そしてポンプオルガンも収録しました。
後述する「Hearth & Hollow」と合わせて今回の中ではかなり推しの音源です。
7.Hearth & Hollow – Plucked Folk Ensemble
7種類の厳選されたアコースティックな民族楽器音源です。
かなりファンタジーな雰囲気で使い勝手が良く、インスピレーションの湧く素敵な音がします。
また、作者の公式サイトに飛ぶと、グルーヴ機能がアンロックされたものが有料で発売されています。
簡単なバッキングをコード追従で行なってくれるというやつです。
気になる方はぜひどうぞ。

8.Percussion Palette
膨大な数の打楽器をコレクションした音源です。
セネガルのジェンベにスネアドラムを取り付けたり、モロッコのウドゥをEventide H3000に通したり、フィルター付きのトーキングドラム、シェイカー、カリンバ(スネアドラムで演奏)、フレームドラム、バリのゴング、竹製のバラフォン、そしてありとあらゆるノイズメーカーを使いました。
シンプルでありながら使い勝手は良さそうです。
しかし、無料のパーカッション音源は混交玉石ながら数多くリリースされているので是非デモ音源を聴いてみて検討してみてください。
9.Viva Bass
まろやかでありながら力強いトーンを持つフェンダーベース音源です。
有料音源に引けを取らない音質でありながら、個人製作の荒々しさや温もりを感じる「これぞPianobook!」と呼べる音源です。
10.1937 Dobro
スライドギターの音源です。
ベロシティによりスライドの方向が変わります。
個人的にこういう音源を持ってなかったのでこの際に入手しておきました。
11.November Piano
非常にメランコリックなフェルトピアノ音源です。
Lo-Fi系の音楽に合う優しさと寂しさを併せ持つ独特の表情が持ち味です。
モジュレーションホイールを動かすと雲の大きさが変わります。
それと同時に、テープエコーや逆再生音の音量が変わります。
ピアノ – ピアノの音量
p – ペダルボリューム
rt- リリーストリガーボリューム
ノスタルジア – ランダムにヒットした音符がカセットテープ効果を通して再生される
メランコリー – ランダムに打たれた音符が逆再生される
クラウド – ノスタルジアとメランコリーの音量を同時に調整します。モジュレーションホイールに反応します。
12.Imperfect Viola
非常にリアルなビオラ音源です。
先ほど出てきたチェロ音源のように圧倒的なリアルさを持ちます。
名前は「Imperfect(不完全)」となっていますが、それ故に非常に人間味のある演奏を聴かせてくれます。
13.Americana Tapestries
美しくもオーガニックな雰囲気を持つパッド音源です。
個人的にはパッド音源はあまり多用はしないのですが、これは映画音楽などで使えそうな荘厳な雰囲気を持っています。
Appalachian Mellotron: ランダム化スクリプトで複数のテープループをタイムストレッチ&スローダウン。ラップスティール、フィドル、オートハープを使用したローファイなアンビエントテクスチャ。
Fiddle for Airports: Brian Enoへのオマージュ。複数のループがランダムなポイントで再生される、アンビエントなフィドルパッド。
Granular Dobro Swarm: ドブロの演奏をgranular処理し、ランダムなピッキングの粒子で構成されたサウンド。
Pedal Steel Refraction Pad: ペダルスティールを多様なエフェクトで加工し、ハーモニクスやピアノループ、ゴムバンド音もレイヤーしたパッド。
やや音量は小さいので作曲時やミックス時にはゲインをあげる工夫が必要になります。
14.Niue
ワイングラスの音を録音した音源です。
「異なる圧力でこする様々な方法を用いて、様々なサイズのワイングラスを振動させ、グラスの音の最適なポイントを見つけ出した」という、パッドのような音やチャイムのような澄んだヒット音を収録しています。
プリセットも多く収録されており、Pluckのような単音やPadのように優しく広がる音、STAR Padはやや激し目のPadなど38種類が用意されています。
15.Dream Vibes
多用途なビブラフォン音源です。
珍しくUIに凝っていてDelayやReverbや3種類のマイクのミキサーが搭載されています。
普通に売っていてもおかしくないクオリティです。
16.Claustrophobic Piano
これが私の最推し「+1」のピアノ音源です。
前回の記事でも紹介したのですがここでも改めて推していきます。
冒頭でも紹介したのですが、LABSのSoft Pianoを作った人の音源で「マイクをピアノの中に入れて背面に毛布を掛けて録音した」というものです。
マイク毎の音量をミキサーで調節出来るの点も高評価です。
音像の近さやリアルな質感、何処となく寂しさや孤独を感じる音は、これにしか出せない個性となっています。
Kontakt問題
普段私は、Kontaktを使っているので、今回紹介した15+1の音源はKontakt上で動作するものばかりです。
さらに難しいのは、Kontaktと言っても、「有料版Kontakt」「無料版Kontakt Player」の2種類がありここでも動作確認が必要になってきます。
もしも、Kontaktを未所持の場合には「Decent Sampler」という無料サンプラーを検討して下さい。

Pianobook上ではKontakt版と一緒に用意してくれている人が結構多くいます。
個人的には「早めにKontaktは買っといた方がいい」派ですが、一旦お試しと言うことであればこちらのパターンもおすすめです。
あったか〜い音楽
「揺らぎ」「ずれ」「ノイズ」などは録音や編集の段階で排除していく。
もちろん、一般的にはそちらの方が価値があり、何処でも無難に綺麗な音が出せると言うのはシンプルに強みです。
しかし、たまには実家のご飯が食べたくなる感じというか、その人の個性や温もりがダイレクトに伝わるものを味わいたくなる時が、私にはあります。
そう考えると「綺麗」で「リアル」な音源というのは相反しあってる気がしてきました。


ぜひぜひPianobookを覗いてみて下さい。
非常に楽しく、こんな世界もあるんだと視野が広くなる感じになります。





