UAD沼に魅入られて早幾年。
よく使うプラグインの中にも早速ランクインするなどとても活躍してくれております。
しかし、せっかく使うのだからちゃんと深くまで知りたいと思い筆を執った次第です。
なので今回は、
Plugindocterを使った分析
そこから感じた気付き
これらについてお届けしたいと思います。
製品概要
現在のファーストチョイスとなっている超有力プラグインです。
使い勝手や音色も素晴らしいのですが、ドキドキしつつ分析していきましょう。
挿した段階での変化(重要)
挿しただけで音量が1.1dBほど上がることを早速知ることが出来ました。
人間の耳は音が大きくなると良い音になったと勘違いしてしまいやすいのでこれは早めに知れて良かったです。
周波数的には10Hz未満と10kHzぐらいから0.2dBほど下がっていますが割とフラットな特性です。
各ダイヤルを動かしてみる
CPS(低周波側)のQの広さ
ここではOUTPUTを調節して0dBに調節して動かしています。
低周波数側はシェルビングタイプとなっています。
一応GUIでは20/30/60/100の切り替えがありますが、それよりも高域側から音量変化は始まっています。
BOOST:5で0.5dB上がった地点
個人的な測量なので間違っているところもあるかと思いますが大体この値から変化しています。Qが広いということは緩やかな変化になるので、使った際に音が破綻しづらい要因かなと。
BOOSTが~2までのQがめちゃくちゃ広い
やや見づらいかもですが、CPSを「30」にして徐々にBOOSTを動かすと「1~2」で2KHzぐらいに音量変化が見られます。そのままBOOSTを上げるとQは狭まっていきます。
つまりここから私が得たものは、
使う時にはがっつりかけた方が吉
です。
CPSのATTENについて
ATTENとは要するにCUTのことです。
こちらも前述したBOOSTと同じようにQの幅がとても広いです。
同じように-0.5dBの変化を起こした値を記載しておきます。
同時に使用したらどうなるか?
BOOSTとATTENを同時に使用したら打ち消しあうのでは…?と当初は考えておりました。しかし、前述したとおりターゲットの周波数が微妙にずれておりそれがとても音楽的な作用を引き起こします。
実際に見てみましょう。
CPS:30 BOOST&ATTEN:4
これは情報収集の中で見つけた海外では有名な設定方法とのことです。
500Hz辺りにDIPと呼ばれる窪みが出来ています。
このように強調したい帯域のちょっと上をカットするととてもタイトですっきりとした音になります。
実際に音も聞いてみましょう。
Gainmatchを使用して音量も揃えています。
低域の迫力が増しつつもすっきりとしたローエンドになったかと思います。
そして周波数を変更するとDIPされる周波数も変わってきます。
CPS:60
CPS:100
DIPは作られましたがそれ以下の周波数は大きくブーストされており、ボーカルやリード楽器に大きく影響してしまいそうですね。
なのでベースやキックの強化という意味ではCPS:30ぐらいが妥当であると思います。
KCS(高周波数)について
こちらは先ほどまでとは違いベルタイプのEQとなっております。
なので高域をがっつり上げるぜ!と使っているとイメージと違う仕上がりになるかもしれません。
Qの幅のクセ
BOOSTする値が大きくなるほどQが広がっていきます。
それを調整するために「BANDWIDTH」を使用していきますが、この値が上がるほどBOOSTされる音量は低くなります。
また、0.5dBの変化時点の周波数をメモしたので記載します。
BW:10 KCS:5
情報収集する中で、5未満で使っている人はあまり見られず広いQで調整をしているパターンが多かったです。
なのでここからの学びとしては
Qは広くとってがっつり使う
です。
確かに僕自身もそう使っていますし、各プリセットもそのように設定されていることが多いです。
KCS(高周波数)のATTEN
これはこれでややこしいのですが、ATTENはシェルビングタイプです。
またCPSのように同じ周波数を共有しているわけではなく独立して5/10/20の3つから適用範囲を選ぶことが出来ます。
また、0.5dBの変化時点の周波数を記載します。
KCS:5
ここに関しては、BOOSTがベルタイプのEQということや高域の調整役ということもあり無理に使ってDIPを作るよりもシャリシャリを抑えるために使っていきます。
倍音分布について
これに関してはこれから他のEQと合わせて比較してみます。
ただ見た感じだと、10KHz以上の倍音はやや少なめでギザギザの集まっている部分が-160dBとやや高めなのでこれがもっちりとしたリッチなトーンにつながっているのかなと感じています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
真空管由来の温かみのある音は聴いてて心地よくアコギやボーカルだけでなく様々な楽器によく馴染みます。
今回勉強になったことは多く、Qの広いEQが名機として昔から使われてきたことは一考に値します。
また、他のPultec EQもいくつか持っているのですぐに比較の記事も作りますので乞うご期待ください。
(11/30追記)
記事更新しました!
かなり濃密な内容になっていますので良かったらご覧ください!
最後までお付き合いいただきありがとうございました。