オプティカルコンプレッサーの名器を忠実にエミュレートした、UAD「LA-2A Tube Compressor」の無償配布。今まで見て見ぬふりをしていたUAD沼にどっぷりハマった方も多いのではないでしょうか?
LA-2Aって何がすごいの?
私の備忘録もかねて深堀りしていきたいと思います。
基本情報
Teletronix LA-2Aは、50年以上に渡り、スムーズでナチュラルなコンプレッションで賞賛を受けています。LA-2Aは、ハーモニック・ディストーションを増やすことなく瞬間的なゲインリダクションを可能する独自のチューブドライブ・オプティカルアッテネーターシステムを採用し、他のいかなるコンプレッサーとも異なります。
本家公式サイトより引用
今回の無償配布キャンペーンページは下記になります。
LA-2Aの特徴
散々DTMブログ界隈で擦られている内容ですが今一度情報を確認してみましょう。
実際に見てみると確かにとてもシンプルな見た目です。
他のコンプレッサーにはついている「アタック」「リリース」「レシオ」といったノブがありません。
これらは内部で固定されており設定することはできませんが、公式サイトによると
アタックは平均10ms
リリースは半分で平均60ms、その後は0.5~5秒
レシオはLIMITで100:1、COMPで3:1
となっています。
使い方
使い方自体は非常にシンプルです。
「PEAK REDUCTION」で圧縮量を決める。
100に近くなるほど圧縮量は増えていきます。また、INPUTを調整するノブが無いので前段までの音量コントロールをしましょう。
「GAIN」で出力音量を決める。
この「GAIN」ノブは圧縮量に影響は及ぼしませんが、歪み量には影響があります。真空管特有の温かさはここで調整します。80を超える出力にすると、めちゃくちゃ歪みますので適度に運用しましょう。
他社のプラグインや同じUADでもバージョン違い等ではMIXノブが付いていたりなど微妙に違いこそありますが基本的な操作は同じです。
Plugindoctorでの分析
周波数特性
実際計測して衝撃だったのですが、このプラグインはどうやら挿しただけで10kHzあたりから少し音量が上がってるようです。
思えば、他社のLA-2Aモデリングを使っているときに「なんか歯擦音が目立ってウォームな雰囲気無いんだよなー」と思っていたのですがこんな所で答えに出会うとは思いませんでした。
他社はどうなのか?
前述の感覚のさらなる検証のために他社のLA-2Aモデリングも試してみました。
10KHz以上が上がっているのがBRAだけでWAVESに至ってはむしろ下がっていました。
なにはともあれ、高音域が上がるということはディエッサー等での下処理がとても大事になってくるということです。前段までにしっかり処理できてないとコンプレッサーを掛けたときに悪目立ちしてしまう可能性が高いです(実体験)。
高調波解析
つまり「歪み」です。
1000Hzを基点として倍音が出ているのがわかります。
真空管由来の倍音分布が「温かみのあるウォームな音」と形容される所以でしょう。
ここに関しては、他との比較や私自身の勉強を今後の課題とします。
実際に比較する
比較検証を「ひよこもはばたく夢を見る」というオリジナル曲でやってみました。
下処理をしたボーカルとアコギを用意して、
コンプ無し
UAD LA-2A
Fabfilter Pro-C3
上記3点で比較していきます。
Fabfilter Pro-C3に関しては、アタック:10ms,リリース:100ms,レシオ:3:1とLA-2Aに寄せて設定してみました。
ボーカル
ギター
感想
やはりと言うべきか、ボーカルはUADで温かみが出ましたね。
fabfilterも悪くは無いんですけど、オケの中での存在感が変わってくるのは容易に想像できます。
聴感上での音量差は揃えたつもりなのですが、波形を見ても変化を感じられます。
アコギに関しても温かみや音の太さはUADに軍配が上がります。
しかしリリースの時間の遅さによるものなのか、少しまったりしてしまったような気がします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
あまりに太っ腹なLA-2Aの無償配布。
実際に使ってみてその威力や名器たる所以を知ることが出来ました。
実機はさすがに高すぎるし使いこなせる気がしませんので、そのニュアンスを手軽に自分の曲へ導入できるようになったのは時代の恩恵としか言いようがありません。
また挿しただけで高音域が少し上がるのも驚きました。
モデリングによって周波数特性が違うのも面白く、これらの比較記事を書いてみるのも検討しています。
こちらの記事を動画にしています。
良ければご覧ください。