2018年に登場し、私も入手してからというもの使用してないプロジェクトは無いと言い切れる魔法のプラグイン。
それがINTENSITYです。
今さら感のある記事ですが、自分の理解を深めるため、そしてマスタリングをどうしたらいいのか分からない方のために熱量高く書いていきます。
概要
詳細 | 明瞭度 | 密度 | 音量
INTENSITY は 、ミキシング、マスタリング、サウンド デザイン用の新しいタイプのオーディオ プロセッサです。顔認識アルゴリズムで一般的に使用される技術に基づいて構築された INTENSITY は、サウンドの本来のディテールを引き出し、知覚される音量と密度を高め、 驚く ほどの明瞭性を追加します。独自のアルゴリズムは、重要な信号特性を抽出してサウンドを より本来のサウンドに近づけ 、基本的に 1 つのコントロールで操作します。独自のアルゴリズムと、プラグインの出力ステージにあるオプションのソフトニー サチュレーション リミッターにより、INTENSITY は最大音量を実現し、美しくアグレッシブなトーンを作成するのにも優れています。本家サイトより引用
このプラグインが有名になったのは、出音もさることながら「顔認識アルゴリズム」を使用しているという謎の一文です。
「ん?顔認識って?スマホとかに使うやつ?」
「それを使ったらこんないい音になるの?!」
という流れです。
デモ音源
実際に聴いてもらうのが一番かと思います。
プリセット11番をそのまま使用し、INTENSITY量とDRY-WET量を上下させてみました。
各パートのディテールが浮かび上がり、立体感が出て、クリアさや音量の密度が濃くなりました。
BYPASSにした時の物足りなさが顕著に分かります。
ここまできっちり耳に聞こえる変化があると使うのが楽しくなりますね。
Plugin doctorでの分析
分析してみようと思ったのですが、挿した瞬間が下図です。

いきなり3dBぐらい上がっているし、ぐにゃぐにゃしながら1K以上の高域が落ちていきます。
正直、理解不能というか、分析不可というか…。

一応、各BIASプリセットを読み込んでみましたが、「え…?ほんと…?」という結果です。
恐らく、測定に使っているのはノイズ系の音で、いわゆる楽器の音ではないためこのプラグイン独自の顔認識アルゴリズムが上手く作動してないのだと考えられます。

一応ダイナミクス特性も確認してみたのですが、もう周波数毎で不思議な曲線を描くばかりです…。
この辺にも精通していれば分析の結果をお伝え出来たのですが、こればっかりはなんとも言葉にならず…無念です。
ということで、各パラメータの説明に移ります。
INTENSITY値

操作するパラメーターはオレンジの「INTENSITY」と「DRY-WET」ぐらいで正直、十分です。
この操作の簡単さも非常に推せるポイントです。
INTENSITY
プラグインの核となるのは、その名の通り INTENSITY 回路です。高度なニューラル ネットワーク ベースの分析と独自の入力および出力変換の組み合わせを使用して、信号を 大まかなストローク と 詳細な 特徴に分離します。大まかなストロークはそのままにして詳細をブーストすることで、サウンドのユニークな特性が増幅され、マスキング効果が緩和され、詳細が強調され、密度と知覚される音量が増加します。本家サイトより引用
LVL COMP

LEVEL COMPENSATIONの略で、音量補正をかけてくれます。
ただし、オレンジのINTENSITY量の変化を補正するだけで後述するBIAS・OUTPUT、DRY-WETは補正してくれません。
なので音の流れとしては、
INPUT→INTENSITY→LVL COMP→BIAS→OUTPUT
となります。
入力や出力はそれぞれで調整可能なので、基本的にはONにしていて大丈夫です。
BIAS

BIASを上げていくとBIAS CURVEで設定した周波数に応じて最大±12dBの変化があります。
使ってみた感じはEQみたいなものかなと思っていたのですが、本家サイトには「BIAS機能を使用して処理量を周波数に応じて制御することもできます。」との記載があるので、処理量が「INTENSITY量」を指すなら、相互に関係しているパラメーターなのかもしれません。
バイアスプリセット画面を開いて、マウスカーソルを載せるだけでその音が聞けるので色々試してみてください。
BIAS100%にしているので各プリセットが顕著なかかり具合ですが、個人的には「EQUAL LOUDNESS」が一番安定していておすすめです。
使い方のヒント
かけすぎ、ダメ、絶対。
効き目が絶大な分、どうしても使い過ぎてしまうのがこの手のプラグインの性です。
塩梅を間違えると簡単にミックスが破綻してしまいます。高域が派手になってシャバシャバな音になります。
これで全部マスタリングをまとめてしまおうとするより、立体感・クリアさのために少しだけ使うのが良いでしょう。
私の設定時の様子です。
DRY-WETで調整するのが結構このプラグインの肝な気がします。
CPU負荷が高い
マスタリング用のプラグインと銘打っていますが、マニュアルやプリセットを調べると、ボーカルやギター・ドラムといった各パートにも使用できます的な雰囲気を醸し出しています。
しかし、現実的な使用範囲を考えると、贅沢な使い方をせずともマスターバスに1個挿すだけで十分です。
魔法だけど魔法じゃない
オリジナル曲を一気に派手にしてくれる魔法のプラグイン。
しかし、それを使うまでのミックスの段階で曲のクオリティを上げておくことによってよりパワーを発揮してくれることは間違いありません。
最終的に挿すつもりであるならば、最初からマスターに挿しておくのも一つの手です。
ある程度ミックスが出来てから挿すと、ドラムのシンバルやリバーブがググっと持ち上がってきますのでイメージと変わってしまいやすくなります。
ミックスを簡単に破綻させうるパワー…
CPU処理負荷の重さ…
決してお手頃とは言えないお値段…
とは言ったものの、それを加味しても十分に買って良かったと思えます。
現状、これにとって代われるものが無い唯一無二のプラグインです。
WavesのIDXがこれに並ぶ衝撃でしたが、それでもマスターバス段の座を「INTENSITY」は譲りません。
(IDXも良いプラグインですので…良かったらご一読ください…。)
本家サイトやPluginBoutiqueでセールが行われることもあるので、気になる方は是非チェックしてみてください。
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