あばん
あばん
今回はmy new gearをお届けするよ!
もーだん
もーだん
しかも2個!

「創造性を刺激する」「使いやすい」「高音質」の3拍子揃った製品を生み出すExcite Audio。
しかも価格もお手頃でDTM初心者の方に非常に優しいメーカーと言う印象が強くあります。

今回はその中から2製品の音源レビューをお届けします。

どちらも「使いやすくて高品質」が私の中での結論になるのですがそれぞれ深掘っていきたいと思います。

Excite Audio「Bloom KSHMR」

製品概要

ドラムサークル、タブラ、シタール、バンスリ、そして表現力豊かなボーカルパフォーマンスなど、250種類以上のプリセットを網羅。それぞれのサウンドにはKSHMRならではの独特のセンスが注ぎ込まれ、インド、南アジア、そしてボリウッド風のオーケストレーションを彷彿とさせます。Bloomのシーケンサーエンジンと強力なエフェクトによって、息づくサウンドが鮮やかに表現されています。

世界的プロデューサーKSHMRとタッグを組んで開発されたこのプラグインは、エスニックの香りが漂う、他のプラグインでは得られないインスピレーションをもたらしてくれます。

あばん
あばん
インド音楽…?作ってる曲に合うかな?
もーだん
もーだん
打ち込むのとかめちゃくちゃ難しそうだしね…

その心配は無用です。

インド音楽独特のノリやフィールはいくらでも楽曲にマッチさせることはできるし、ワンショットやループオーディオを鳴らす「サンプラー型」の音源なので難しいアーティキュレーションを設定する必要はありません。

むしろ指数本でめっちゃかっこいいトラックを数分で作ることが出来ます!

40分ぐらいで制作した短い曲が下記になります。
かっこいいやつをただ並べただけなのですが曲として形になっています。

詳細なEdit(編集)画面

プリセット表示の右側にある「Edit」ボタンからサンプルの再生方法や細かい編集を行うことが出来ます。

PlayBack
各4タイプが用意されているのですが大体「Hold」か「Oneshot」で事足ります。
Hold→ノートが押されている間、サンプルを再生します。
Latch→ノートを押すたびに再生と停止が切り替わります。
Relative→直前に再生した位置から再生されます。ノートのON・OFFで再生位置が変わります。
Oneshot→ワンショットモードで再生されます。

Speed&Choke
再生速度を通常(normal)・倍速(double)・半速(half)から選べます。
Chokeでは同じ番号に設定したグループ内のサンプルが新たにトリガーされると、先に鳴っていたグループ内のほかの音を強制的にミュートします。

その他にも、アタック/リリース、パン、ボリューム、ピッチなどの編集が個別で可能です。
後述するシーケンサーやモジュレーションでステップ毎に調整する事もできます。

また、波形表示+スナップ(グリッド・トランジェント)で再生領域の選択も可能です。

シーケンサー&モジュレーション

シーケンサー
ステップ数や再生レートが設定できますが、ここではスウィング度合いや5タイプを把握しておきましょう。

・Human→ランダムなズレを加えて人間っぽさを付加
・Rushed→音符の感覚を狭めて前のめりのビートに調整
・Shuffle→3連符のクラシックなシャッフル
・Vintage→2拍目と4拍目を後ろにずらす
・Swing8→8分音符ベースのスウィング感

レーンでは、トリガーやピッチ・アタック&リリースなど8つのパラメーターをステップ毎に設定ができてメリハリの効いたシーケンスを制作できます。

下記3つだけでも押さえておくと複雑みや意外性のあるビートになりやすいです。
Trigger→指定したステップで音のオンオフを設定します。
Probability→指定したステップで音が鳴る確率操作します。
Perform→演奏パターンを追加することが出来ます。

演奏パターンにはロールやゴーストノートなどの細やかな奏法が搭載されているのでアクセントとして指定するとよりいきいきとしたビートになります。

Fullscreen

シーケンサーレーンの右下にある「Fullscreen」の枠をクリックすると全画面表示でシーケンサーA〜Eの設定を確認することが出来ます。

内容は前述したシーケンサーの内容と同じですが、シーケンサーを組むのであればこちらの全画面表示の方が直感的に理解しやすいでしょう。

モジュレーション
シーケンス全体にエフェクトを適用することが出来ます。オートメーションを使って動きのあるエフェクトを使用できます。
ピッチやボリューム、フィルターなど王道エフェクトを使用可能です。

オートメーションを書くことも出来ますが「プリセット」「ランダマイザー」も結構有用で、面白い動きのあるビートを組むことが出来ます。

豊富なエフェクト&マクロコントロール

3つのエフェクトとグローバルエフェクトの微調整が可能です。

トップページのアイコンからでも簡易的に調整をする事もできます。

「ダイナミクス」ではトランジェントやコンプレッサーの調整を行い、「リバーブ」では空間の響きを作るのですが、「ノイズ」というパラメーターは個人的にとても面白いと感じました。

NOISE

再生モードが3種類あって、
Constant→常にノイズが再生され続ける。
Dynamic→トリガーとなる信号とシンクロしたように動的に鳴る。
Ducked→信号とダッキングしてトリガーが鳴ると小さくなり、トリガーが止まると音が大きくなる。
という感じです。

Constantであれば、ずっとレコードノイズやカセットヒスを流してLo-Fi感を出す事もできるし、少しうるさいと感じればDuckedに変更する事もできます。

そしてDynamicであれば様々なノイズの質感を音源に足すことが出来ます。
スレッショルドの設定も可能なので強い音が鳴ったら足して、弱い音の時は何もしないというのが設定できるのが面白いところです。

GLOBAL

ハイパス&ローパスフィルターやトーン、MIX量の変更などがありますがここでは4つのノブによってマクロに音の質感をコントロールすることが出来ます。

Lo-Fi(オーディオの劣化)
Tube(サチュレーター)
Width(ステレオ幅)
Space(ディレイ&リバーブの空間)

EDIT画面でも設定はできますが、トップページからも簡単にアクセスできるようにアイコンが置いてくれてあります。

伝統×最先端=新しい表現力

Bloom KSHMRはエスニックな雰囲気を持つ民族楽器特化の音源プラグインです。
しかし、それが狭い範囲だけのニッチなものではなくどんな曲調にもマッチできる新しい可能性を秘めたものだと感じています。

個人的なおすすめの使い方は、各プリセットの中で組まれている「シーケンサーA〜E(C#3〜A#3の黒鍵)」を鳴らしてインスピレーションを爆発させることです。

このプリセットのシーケンサー自体が非常に優秀で、「これが僕が作った曲です」と言いたくなるぐらいかっこいいものばかりなのでぜひそこから始めてみてください。

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Excite Audio「Evolve Alloy」

製品概要

Evolve Alloyは、鮮やかなグロッケンシュピールやベルから、インダストリアルなフォーリー音、そしてメタリックでモダンなシンセサイザーまで、250種類以上の音源を収録しています。その結果、力強くインパクトのあるサウンドから、きらめきと軽やかな響きまで、シャープで表現力豊かなサウンドパレットが誕生しました。

4つのレイヤーからサウンドを構築し、XYパッドでレイヤーをブレンドし、メタルにインスパイアされた4つのマクロエフェクト(Sharpen、Rust、Vibrate、Spring)で出力をシェイプアップ。Evolve Alloyは、デュアルフィルター、無限のモジュレーションポテンシャル、そして16のエフェクトモジュールを搭載し、250種類のプリセットとサウンドデザインの可能性を広げます。

アンビエントやミニマリズムの澄み切ったベルのような音色、インダストリアルテクノの共鳴する金属的な擦れ音、現代のハイパーポップのエネルギッシュな音など、Evolve Alloy はこれらの複雑なサウンドの奥深い音響を、アクセスしやすく直感的に表現できるように設計されています。

前述したBloom KSHMRが人の呼吸が聞こえる音源だとするなら、このEvolve Alloyは無機質でひんやりとした感触のする音源だと言えるかも知れません。

この音源の特徴はやはり「メタリックな音」ということでしょう。
「鋭さ」「迫力」「輝き」「透明感」がキーワードとなるような音色ばかりです。

あばん
あばん
金属っぽい音って探すの難しいんだよね…
もーだん
もーだん
なかなかシンセでは出しづらいからね…

メイン画面

EDITボタンを押せば隠れていたウィンドウが出てきて詳細な編集が可能になります。
ここでのコアとなる独自機能は下記の通りです。

4レイヤーの音源エンジン
各エンジンにサンプルかシンセ波形を選択することが出来ます。
サンプルが沢山収録されており1つずつ地道に聞いていくのも楽しいし、サイコロマークを押してランダムにサンプルを切り替えていくのもいいでしょう。

XYパッド
中央のXYパッドで、前述のエンジン間を動かして音を自在にブレンド出来ます。
また、エフェクトを適用すればリアルタイムに音が変化するモーフィングが可能です。

3スロットFXチェーン
デュアルフィルターを含め、16種類のエフェクト(リバーブ、ディストーション、サチュレーション、ディレイなど)を自由な順番で配置できます。

よく見る重要なエフェクトがずらりと並んでいますが「Speaker」「Noise」は面白いと思ったので解説します。

Speaker

DEVISE→携帯電話やノートPCと言った小型のスピーカーのエミュレートです。
CABINET→ギターのキャビネットのエミュレートです。
Hi-Fi→ハイエンドスピーカーシステムをエミュレートしています。
NO SPEAKER→スピーカーをバイパスして信号を直接入力します。

Size→スピーカーのサイズです。
Age→音の品質、どのぐらい劣化させるかを設定します。
Depth→スピーカーから仮想マイクまでの距離です。
Mix→原音とエフェクト音のミックス量です。

Noise

前述したBloom KSHMRと同じようにノイズをレイヤーして独特な質感を付加することが出来ます。違うのは「Ducked」つまりダッキングモードがないのでトリガーされた信号と一緒に音を鳴らすことになります。

SOURCE→どんなノイズを付加するかを選択します。
Thresold→このスレッショルドを上回った時にノイズが再生されますが、最小にするとコンスタントモードになりずっとノイズが鳴り続けます。
Release→信号を下回ってから音が鳴り止むまでの時間を設定します。
Level→ノイズレイヤーの音量を設定します。

4つのマクロエフェクト

Evolve Alloyのマクロエフェクトは、金属質の個性や表情をすばやくコントロールできる直感的ツールです。
各マクロには明確な役割と、サウンドデザイン上の使いどころがあります。

左から順番に解説していきます。

Sharpen

  • 用途例
    • ベル、グロッケンなどのアタック感をより強調したい時。
    • リード音や金属打楽器サウンドに鋭さ、パンチを追加したい場合。
  • 最適な使い方
    • ローパス+ハイシェルフ的な組み合わせなので、高域を明るくしたい時に徐々に値を上げるのが吉。
    • 攻撃的なトラックやEDM、ポップのリードシンセの存在感アップにも効果的でありドラムやパーカッション強化にも使える。

Rust

  • 用途例
    • 新品の金属音を“ヴィンテージ”や埃っぽい風合いに変えたい時。
    • アンビエント、ダークな映画音楽で時代や空間を演出したい場合。
  • 最適な使い方
    • 微量で“やや使用感”、大きく上げるとノイジーさやディストーション感が加わる。
    • 声やサンプル音にも「使い込まれた」感を足したい時に最適。

Vibrate

  • 用途例
    • 金属棒や弦の共鳴&揺らぎを強く表現したい場合。
    • パッド、テクスチャ音源に“揺れる”ニュアンスを加え、動きや立体感を与えたい時。
  • 最適な使い方
    • モジュレーションと組み合わせてLFOで揺らぎを自動化すると有機的なサウンドに発展。
    • 普通のベル→幻想的な水面感・サイファイ的うねりを加えたい時に徐々に増やすのがおすすめ。

Spring

  • 用途例
    • スプリングリバーブのような響きやトランジェント後の“跳ね返り”感を演出したい場合。
    • インダストリアル・ロックやエクスペリメンタル系の「機械的・不思議な響き作り」に。
  • 最適な使い方
    • スネアや打楽器系サンプルの“余韻”にアクセントを与えたり、全体に金属らしい弾性を追加。
    • 空間系エフェクトの前段に薄くかけると立体感が向上するが、強く適用すると「跳ねる」「びりつく」金属感が強調されるため用量を調節して使う。

ピッチトラッキングとランダマイザー

このプラグインを使用する上で押さえておきたいポイントが2点あります。
各サウンドウィンドウの右上にあるキーボードマークは意外と重要なアイコンです。

ここでキーボードの音階に追従してサンプルのピッチを変更するかどうか、所謂「ピッチトラッキング」のオンオフが設定できます。

メロディを奏でたい、音階を設定したいと言うことであればオンにするべきですし、FXや効果音的に使うのであればオフにしていた方がサンプル独自の質感を失わずに済みます。

また、ランダマイザーもかなりおしゃれで有能です。

ランダマイザーで変更したくないものは隣のアイコンからチェックを外しておきましょう。
全部変更してもいいし、エフェクトだけ変えたいと言うのも可能です。

そしてサイコロアイコンをクリックすると設定がランダマイズされるのですが、スライダーを長くすればするほど、サイコロが転がれば転がるほどランダマイズの値は大きくなります。

「少しだけ変えたい」「ガラッと変えたい」がこのUIで表現できるのはデザインの勝利だと感心しました。

現代の金属系サウンドを手早く作成

金属的サウンドを中心に据えながらも、あらゆる音楽ジャンルに革新的なサウンドデザインをもたらしてくれます。

あばん
あばん
プリセットがまた優秀なんだよね…!
もーだん
もーだん
金属っぽさやガラスっぽさがあるよね。

キラキラするようなパッドやどす黒くて鈍いベースなど表現の幅の広さは、前述した収録サンプルの豊富さ・高品質さに由来するものです。

他の音源では得られない独自の音色とインスピレーションを得るために是非使っていただきたいと思える音源でした。

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素敵な「まいにゅーぎあ」

“直感的で創造的なソフトウェア”を提供するという理念のもと設立されたExcite Audioの2製品を紹介しました。

解説と言えるほど、難しい要素が無く「分かりやすく且つ高品質」に使えるという使い手ファーストの良い製品だったと思います。

今までエフェクト系の記事や解説が多かったのですが、音源の解説もいいなぁと個人的には思いました。
ぜひ反応、コメント等お待ちしています。

このブログ記事が、皆さんの音楽制作に役立つ情報を提供できることを願っています。
さらに詳しい情報や、ご意見ご感想があればぜひコメントをお待ちしています。

ABOUT ME
池田 耕平
夫婦アコースティックデュオ「アバンdeモーダン」のメンバー。 作詞作曲とDTMを使った編曲やミキシングを担当。 メイン楽器はアコギとハーモニカ。 DAWはStudioOne。 ・音楽制作(BGM・ボカロ) ・夫婦ライバー ・YouTube運営(カバー・DTM解説) ・当ブログ運営