あばん
あばん
2記事連続のTB TECH回!
もーだん
もーだん
また新製品のレビューだぞ!

前回のTB TECH「Future DS」の記事はご覧頂けたでしょうか?
私のディエッサー探しの旅を終わらせてくれた名機を紹介しました。

今回は後編として「Unmask」をレビューしていきます。

「Unmask」は現在イントロセール中で、「59ドル」と10,000円を切る価格帯となっています。
本製品は、ざっくり言えば「ダイナミックEQ」です。
またその名前の通り、マスキングされていて人間の耳では聞こえなくなっていたそのトラック本来の音を掘り出してくれるというものです。

非常に競合の多いジャンルではありますが、これも非常に出来が良く何より「これにしか出来ない処理」をしてくれるレギュラー当確の製品です。

本記事では前回同様に「Unmask」の
・機能と使い方
・競合プラグイン
・推しポイント

をお届けしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。

製品概要

UNMASKは、心理音響学に基づいたダイナミックEQです。信号を継続的に分析し、リアルタイムで補正を適用することで、ディテールを明らかにし、音色のバランスを改善し、明瞭度を高めます。
このシステムは、スペクトル、音色、時間という3つの知覚次元にわたって動作し、それぞれ専用のモジュールと単一の深度コントロールによって処理されます。これらの値を上げると、サウンドがより広がります。

本家サイトより引用

ダイナミックEQなのか?

先ほど「ざっくり言えばダイナミックEQ」と言いました。
しかし、個人的にはそこまでダイナミックEQ味を感じていないのが正直な所です。

私のイメージでは、ダイナミックEQは適用する周波数や処理量を細かく調整し、該当帯域の音を下げて聴き取りやすさを上げるツール、つまり手動でマイナス状態を0にするためのツールという感じです。

しかし、このプラグインは「音響心理学を使いリアルタイムに分析し本来の音」を取り戻してくれるツールであり、使う側として余りにもオートマチックに美麗な音に変わっていきます。
それは「現状からプラスまで音を引き上げてくれる」ツールと評する事も出来ます。

前回の「Future DS」の時もそうでしたが、単純にデジタル的に音量を上げ下げするのではなく、音響心理学を用いて「聴いてる人間がどう知覚するか?」に寄り添う形で処理をしてくれています。

あばん
あばん
テクノロジーとTB TECH凄いね…。
もーだん
もーだん
そりゃ人気爆発するよ。

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使い方と機能紹介

この製品は「周波数(SPEC)」「音色(TILT)」「時間(TIME)」という3つの次元から同時にマスキングを解析・解除するアプローチを採っています。

個人的に気になって、入力された音の通る順を調べてみましたが、本家サイトでは内部DSPの信号経路までは公開しておらず、確からしい一次情報を集められませんでした。
そのため、各モジュールがどのような順序・方式で統合されているかは現時点では不明です。

並列かもしれないし、直列かもしれない。
ちょっともやつく部分ではありますが、デモ音源を織り交ぜつつ解説をしていきます。

SPEC

ここでは周波数的な処理として、「埋もれているディテール」を上げ、「覆い被さっている成分」を下げる事で、知覚しやすい本来の音に戻してくれます。
ここの部分だけを切り取れば「ダイナミックEQ」と評されるのもなんとなく分かります。

しかし、曲の展開やフレーズごとに周波数は変わります。
その点、動的に周波数のピークとマスキングを分析し続けてくれるので、常にクリアで明瞭感のある音になるという点では「ダイナミックEQ」とは違うと言えます。

ノブも2種類のみで「Depth」「Smooth」です。
処理の深さと処理時のQ幅の設定です。

他のモジュールでも同じことが言えますが、掛けるほどに明瞭感が上がっていくので気持ち良くなりがちですが「かけすぎ厳禁」です。
公式マニュアルでは「60〜70%ぐらいが良い出発点」と謳っていますが、個人的にはもっと低いところから始めても良いように思います。

TILT

ここではトラック全体のトーン、つまり明るさを決めると考えてください。
基準として使われているのはピンクノイズ、ブラウンノイズと呼ばれるノイズですが深く考えてもピンと来ない部分なので大丈夫です。

「Depth」は先ほど同じで処理の深さですが、「Slope」はトーンの傾き具合を決めます。
一応、マニュアルでは適用する場所に応じておすすめの傾き具合を紹介してくれています。

・‑3 dB/oct (明るめ) バランス型 ミックスバスやマスターバス
・‑4.5 dB/oct(普通) ボーカルや、メイン系のトラック
 本家Youtube動画では単一トラックは‑4.5 dB/octでOKと言ってた
・‑6 dB/oct (やや暗め)温かみのある音、Pad系や低音重視のトラック

先ほどのSPECが詳細だとすれば、このTILTは全体だと言えます。
より人間の耳が心地良いと感じる周波数バランスに整えてくれる役割です。

TIME

個人的に一番扱いが難しいと感じたのがこの「TIME」です。
なぜならこのような挙動をするプラグインをあまり見た事ないからです。

ドラムのアタック音や子音などの強いトランジェントによって隠れてしまう、その直後の小さな音を知覚できるように引き上げてくれるモジュールです。
つまり、ドラムだとサスティン、アコギだと胴鳴り、ボーカルだと発声直後のディテールを取り戻すことにより、音に深みや躍動感、失われていた表現力や空気感を加えることが出来ます。

イコライザーやコンプレッサーでは決して到達できない深みとディテールを明らかにする。それができるのはUNMASKだけだ。

本家サイトにある文言を引用しましたが、割と強めの物言いです。
しかし、大いに納得する部分もあり、今まで周波数的なマスキングの処理ばかり考えていましたが、時間的なマスキングの処理に手が届く新しくて魅力的なモジュールです。

「良い出発点としては、30~40%程度が目安です。」とマニュアルにある通り、少量から少しずつ試していきましょう。

あばん
あばん
改めて言っとくけど…
もーだん
もーだん
かけすぎ厳禁!!!!

Master

そして最終段のマスターセクションです。
個別で「Depth」を調節してきましたが、3つのモジュールが重なると何だかんだでかけ過ぎになっちゃうものです。

なので「Scale」を使って最終的な処理量をここで決めましょう。

また画面右側のスペクトル表示部で処理範囲や周波数ごとの重み付けをすることも出来ます。

画面右下にはこれまでの個別モジュールの切り替えボタンがありますが、個人的にはマスターセクションで一括設定をしてしまった方が楽だし、あまり大差ないと感じています。

強いて言えば、画面上下のラインを動かすと最大処理量を決めることが出来ます。
これを使って「各モジュール±3dB以上の処理をしないようにする」というセーフティネットを貼っておく、という使い方はありかもしれません。

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Glueという神機能

このプラグインの一番難しくてややこしいのにめちゃくちゃ重要な機能はサイドチェーンを使った「Glue」機能です。

これまでは単体トラックに適用する前提で話を進めて来ましたが、本領を発揮するのはこの機能を使ってからです。
「サイドチェーンでマスキング解消できるよー」ってレベルじゃないです。
それだったら他のプラグインでも余裕で出来ます。

何が凄いかというと、従来は、ボーカルをトリガーにしてオケ側を圧縮・変化させます。
しかし、このGlueはオケをトリガーにして「ボーカル側を変化・修正」するのです。

最初使った時、今までの常識と真逆過ぎてビビりました。
「メインのボーカルを変えちゃダメじゃない?」と思いましたが、それらの処理をするのがこれまでお話ししてきた3つの次元からなるモジュール達です。

適用例としては、
・ボーカルとオケなら、ボーカル側に適用する。
・キックとベースなら、ベース側に適用する。
・レイヤーしたシンセなら、メインの音域がある中域レイヤーに使う。

という感じです。

あばん
あばん
そう聞くとちょっと安心かも。
もーだん
もーだん
悪くならないようにしてくれるよ。

私のデモ音源も記載しますが、公式のデモ動画が非常に分かりやすかったので一応置いておきます。

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競合プラグイン

競合プラグイン比較をしようと思ったのですが、Unmaskが新しすぎて完全な競合は存在しないということに気が付きました。

なぜならUnmaskは
・ダイナミックEQ
・スペクトルプロセッサー
・マスキング除去
・ミックスのGlue

という4つを融合したような製品だからです。

強いて上げるとすれば、

パッと思いつくのはこの辺りでしょうか。

各プラグインとの比較分析

自分でも無理あるなぁ…と思いながら列挙していました。

何か一芸においては似たような機能ではあっても他の部分が全く違うという状況になりすぎてて比較にならないと言うのが正直なところです。

耳障りを良くする、ディテールを引き出すと言う点では、Soothe3INTENSITY2、Gullfossなどが挙げられますが、設計思想が違うし、カットもするしブーストもすると言う点ではCurvesAQsmart:EQ 4が挙げられますが、TIMEやGlueと言ったような機能は搭載していません。

安易な結論ではありますが「Unmaskは唯一無二」と言うことにさせてください。

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好きを語るレビュー

まだ使って日が浅いですが、非常に効能を享受しています。
ただ、使う塩梅が難しいと言うのは申し添えておきます。

動的な処理であるが故に、処理量が絶えず変化し続けるのでその辺りをうまくコントロールしないと「しゃりしゃりするし、音量が不安定」と言うことに成り兼ねません。

肝でありながら操作が難しい「TIME」と「Glue」を自分の中で咀嚼できた時に改めてこいつの凄さを実感できると感じます。
「本来の音を取り戻す」と言うコピーのプラグインは山ほど見て来ましたが、ここまで人間の知覚に則って機能を提案して来たのがUnmaskが初めてなので戸惑っている部分もあるかと思います。

個人的なチェーンとしては基本的なEQとSoothe3、ディエッサーで整えた後に挿して、サチュレーションや空間系を加えるという形になっています。
初撃のインパクト50%、これからの熟達50%ぐらいの割合でレギュラーに当確したのでまた新しいチェーンを見つけたら共有したいと思います。

なんで今まで無かったん?

やはり特筆すべきは時間的マスキングを処理する「TIME」と、ボーカル側を変化させちゃう「Glue」でしょう。

「ボーカルのためにオケに隙間を空けて…」
「キックとベースは帯域を譲り合って…」

もちろん大事なことなんですが、発想の転換というか「なんで今まで無かったんだろう」と思うぐらい私にとって新しい内容でしたし、それを可能にする技術力がTB TECHにはあるんだなぁと気付かされました。

あばん
あばん
こういうのを知っていくのが楽しいよね。
もーだん
もーだん
音楽制作もより楽になるといいな。

前後編に分けてTB TECHの2つのプラグイン紹介をして来ました。
どちらも人間の知覚や心理に基づいて、新しいアプローチで価値のある製品を世に送り出しています。

前回の「Future DS」と同様に「Unmask」絶賛イントロセール中ですし、本家サイトからデモ版を使用することが出来ます。

TB TECHのデモ版は基本フル機能で無期限使えるという太っ腹仕様です。
その分、プリセットが使えなかったり、無音になったり、DAWを落とすと設定内容が全部デフォルトに戻ってしまうという制限があります。

とにかくデモとして使う分には申し分ありませんので是非試してみてください。

「動画」

このブログ記事が、皆さんの音楽制作に役立つ情報を提供できることを願っています。
さらに詳しい情報や、ご意見ご感想があればぜひコメントをお待ちしています。

ABOUT ME
池田 耕平
夫婦アコースティックデュオ「アバンdeモーダン」のメンバー。 作詞作曲とDTMを使った編曲やミキシングを担当。 メイン楽器はアコギとハーモニカ。 DAWはStudioOne。 ・音楽制作(BGM・ボカロ) ・夫婦ライバー ・YouTube運営(カバー・DTM解説) ・当ブログ運営